ドラクエ2

ありがとう。みんな。

大団円。

ハーゴンの城が崩れ落ちる。

――― オレらはあの後がむしゃらに戦った。

正直言ってよく覚えていない。

でも、

とにかく、

持てる力を出し切った。

その結果 ―――――――――

 

オレらはローレシアについた。

まやかしなんかじゃない、本当の平和がそこにはあった。

みんなが暖かく迎えてくれた。

親父は柄にも無く涙を流しながら、オレを強く抱きしめた。

おい、笑うな、そこの2人。

このあとは久々に自分の城で晩餐だ。

もちろんお前らも一緒だって。

なっ、そんなイヤそうな顔すんなよ。

せっかくなんだし、さ…。

 

とらうまは次の日、自分の国に帰っていった。

これからはしっかり王位をついでがんばるんだそうな。

えらいなあ。

にせものは、まだオレの城にいる。

けれど、少しづつムーンブルク再興のめどが立ってきてる。

亡き父のあとを継げるのは私しかいないから…だって。

考えてみたらあいつが一番しっかりしてたかもなあ。

ミンクのコートだって、いつのまにかしっかり持ってたし…。

ま、いっか。

で、オレは…

「うそつき、話がある。」

「…なんだよ、親父。」

「…お前にな、王位を継いでもらいたいんじゃよ。」

「なっ…!?」

「お前も旅を経ていっぱしの男になってきたからな…。」

「ちょっ、急に言われても…」

「…なーんて言うと思ったかバカ息子!!!

お前もとらうま王子やにせもの王女を見習って、

少しは勉強…」
 
「ウルアアアアァァァアアアアーーー!!!!」

壁おもいっくそキック。

「いちいち小言なんて聞いてられっかー!!!

こんな事もあろうかと脱出口2ndを作っておいたのさー!!!」
 
「またかお前ェェー!!!」

「フゥ…。

まあでも、

あいつはしっかりとやっていけるじゃろうて…。 フフフ…」

 

 

 

 

――― そして。

ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクの3国は、

永遠ともいえる平和とともに、

長く、長く発展していくのでした…。

 

 

おしまい。

 


というわけでですね、「今からドラクエII」完結いたしましたー。

よかったなあ。

まあはじめレビューみたいなのを考えていたんですけど、

いつのまにかプチ小説みたいな感じになってしまいましたとさ。

だから「星みる」のときと全然違うでしょう。

「星みる」のときは主人公同士の会話が少ないもの。

でもゲーム的にヘンテコな部分が多いからそっちメインでやっていたんですね。

でも「ドラクエII」は、なんかやってるうちに普通に面白いので

こうなっちゃったっていうか。

あとファミコン版でなくてGB版だし。

システム面はかなり改善されてますからねー…。

とにかく、今回も「ドラクエ知らなくても、ドラクエキライでも楽しめる」ように

気を使ったつもりです。

魔法の名前もみんなが知ってるようなやつしか出してませんし、

アイテムに関してはカンタンな説明を入れるようにしてますし、

話がわかりにくくなるようなアイテムは登場させてません。

「みずのはごろも」とか。

あるとかなり便利なんだけど無くてもゲームは成り立つので入れませんでした。

もっというと、ハーゴンのところについた頃って、

みんな「ロトの剣」装備してないはずなんですよ。

それよりもっと強い剣が手に入ってるはずなんです。普通にやってれば。

ですがトドメは「ロトの剣」にしました。わかりやすいから。

まあそんな感じです。

ていうかそこら辺の基本コンセプトはゲームレビューにも使われてるのです。

「そのゲーム知らなくても面白い文章」っていうのがやっぱりあるので。

いかがでしたでしょうか。

 

感想とか、BBSにでも書いてくれるとありがたいです。あとメールでも。

それでは、

足掛け5ヶ月にわたってお送りしてきた「今ドラ」(←略すな←やるドラっぽい←ダジャレ。)

ここに完結。

ありがとうございましたー…。

ミンナノタメニ。

力を。

中ではハーゴンの側近たちが待ち構えていた。

だが、そんなのに負けるほどオレたちは弱くない。

アトラス、ベリアル、バズズ。

確かに手強い相手だ。

けれど、

僕たちには誰にも負けない勇気と、希望がある。

僕たちはとてつもなく大きなものを背負っている。

だから。

だから絶対にこんなところで負けるわけにはいかないんだ。

「…ハア、ハア……」

「な、何とか…」

「ここまでこれたわね…」

そこかしこに残る傷をホイミで癒し、いのりのゆびわを握りしめ、

僕らはここまで来た。

ついに。

ハーゴンのいる祭壇に。

「ハーゴン!!!!」

祭壇で祈りを捧げているヤツこそ、大神官ハーゴン。

「…?」

ハーゴンはこちらを振り返る。

恐ろしく凍てつくような目で。

「なんだ貴様ら、私の祈祷の邪魔をしおって…」

「…てめえの首をいただきにきた……。

大神官ハーゴン、てめえも今日で終わりだッ!」

「威勢のいいガキどもだ…。

よかろう、相手になってやる…。」

ものすごい気迫がビリビリ伝わる。

しかし、やるしかない。

やるしかないんだ!

「…これで最後だ。

行くぞ、とらうま、にせもの!!!」

「おお!!!!」
 
「うわああああああああああ!!!!!!」

……

戦いはまもなく終わった。

「ぐ…あ……」

ハーゴンの胸に深々とロトの剣が突き刺さる。

どす黒い血が滴り落ち、次第にハーゴンから力が抜けていく。

誰もが勝利したと思った。

…しかし。

「ふ、ふはははははははははァ!!!!!!」

「な、何がおかしい!!?」

「力をつけたものだな小僧、

よかろう、私の負けは認めよう。

だがな…」

「なっ…、なんだ!!!」

「私はこのままでは死なんぞォ…。

すべてを破滅へと導いてくれる…。」

そういうと、細く鋭い目を見開いて印を結び、叫んだ。
 
「破壊神シドーよ!!!!
 
我の身、今ここに捧げん!!!!
 
さあ、復活するのだ、
 
そして、
 
人間共を、
 
この世界を滅ぼすのだ……!!!!!!」

すると、轟音とともにハーゴンの姿は消え、魂が天へと昇っていく。

その瞬間あたりに暗雲が立ち込め、

一筋の光とともに、そいつは姿を現した。

禍々しいその体は、まさに…

「破壊神」そのものだった。

「我が名は破壊神シドー…!!!

ロトの子孫とやら、貴様らには礼を言うぞ。

ハーゴンの魂によってこの私は復活できたのだからな…。

フフフ……、

ハッハッハッハッハ……」

3人は愕然とした。

「こ、こんなことって…」

「そ、そんな…」

へたれこむとらうまとにせもの。

…しかし。

うそつきだけは別だった。

確かにショックの色は隠せないものの、

なんとか勇気を奮い起こした。

立ち上がり、2人に手を差し伸べる。

「…大丈夫だ。

オレらの力が合わされば、何も怖いもなんてない。

今までだってそうだったろ?

オレがふぬけても、

とらうまに呪いがかかっても、

にせものが犬にされたって、

皆でなんとかしてきたじゃないか。 なあ。」

「あ…」

…その言葉を受け、2人は立ち上がった。

「そうね、最後だもん、やれるだけやってみましょうよ!」

「そうだね、がんばろう!」

そして、ちょっとはにかんで、うそつきが言う。

「…なあ、みんな……」

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと、友達だよな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人は意を決して、立ち向かう。

いつだったか、「希望とかそんなんよくわかんないけど」とか

そんなことを言ったような気がするけど、

今はなんか、わかる気がする。

この戦いが終わったら……

僕たちは、戦う。

そして…。

このままじゃうそつきがあぶない。

2人は階段を駆け上がる。

上がり終えると、そこでは親子が仲良く食事を楽しんでいた。

「待てッ!!!」

息を切らせ、とらうまが叫ぶ。

「うそつき、そいつはローレシア王なんかじゃ無い!!!

そいつは、ハーゴンの作ったまやかしなんだ!!!」

「…おやおや、元気のいい王子様だ。

何を言っておる。ここはれっきとしたローレシア城であり、私はローレシア王じゃよ。」

とらうまの叫びにローレシア王が答える。

「ささ、君たちも一緒にどうじゃ。もう何も恐れることなど…」

「ふっ、ふざけるな!!!!

そんな都合のいい話があってたまるか!!! 

お前たちのせいで、幾人もの人が命を落としてるんだぞ!!?

……なあ、うそつき?」

とらうまがうそつきに目をやる。

――― しかし。

「…あ……う…………」

「ど、どうしちゃったんだようそつき、何をしてるんだよ、ほら…」

「いや…あの…さ、もう…いいと…思うんだよね……。

「えっ!!?」

「これで…いいと……おもうんだよ。」

「どっ、どうして!!?」

「だって…さあ、すごく平和じゃん。

なんていうか、落ち着ける…っていうか、

オレたちが今までやってきたことのほうがまやかしなんじゃないかな…って。」

「な、何言ってんだようそつき!」

「だってそうだろ!!?

目の前で魔物が死んだり人が死んだりさあ!!!

もううんざりなんだよ!!!!

ずっと、ずっとこんなんだぜ!!?

そんなの悪夢としか思えないだろ!!?

そうだろ!!?

だったらさあ、ここでゆっくり暮らそうぜ!!?
 
争いの無い世界でさあ!!!」

 

「もう、疲れたよ…」

 

――― そこへ。

パシッ

にせものがうそつきの頬を打つ。

「なっ…」

「バカなこと言ってんじゃないわよ!!!!!!

あんたねえ、

私たちがどれだけのもの背負ってここまで来たんだかわかってんの!!!?

世界中の人が、私たちに平和を望んで、

そうしてここまで来てんのよ!!?

私たちが平和にするのよ!!!

…ハーゴンなんかに、

お父様を殺した奴なんかに、

本当の平和なんて、

幸せなんてわかるわけが無いじゃないのよ!!!!!!」

「…けど……」

うつむくうそつき。

すると。

「…これでもわからない!!!?」

そう叫ぶと、

袋からルビスのまもりを取り出し、高く放り投げる。

「!! そ、そのペンダントは…」

ルビスのまもりからまばゆい光が溢れ出し、あたりを包み込む。

あたたかい、あたたかい光。

「キ、キサマ…」

ローレシア王が突然苦しみ始める。

時を同じくして、侍女や近衛兵たちが次々と消え去っていく。

城のまやかしが吹き飛んでいく。

白い城壁は崩れ落ち、赤土色の崩れたレンガが剥き出しになる。

地面からは毒の沼が溢れ出し、

あたりに異臭が立ち込める。

まるで陥落したムーンブルク城を思い起こさせるような、

廃墟。

そして。

「ああ…あう……」

床にへたれこみ、現実を直視できないうそつきがいた。

「どう、これでわかったかしら…。

いい?

私たちは、戦わなくてはならないの。

あなたの言っていたような、争いの無い世界にするために。」

「…」

しばし無言のうそつき。

やがて、ゆっくりと立ち上がる。

「そう…だよな。」

「うそつき…」

「そんなわけねえよなあ。悪い、オレどうかしてたわ。」

「よかった…」

「…でもうそつきも、案外弱いところあるんだね。」

「バッ、な、何言ってんだよ、とらうま…。

あー、なんか恥ずかしいところ見せちまったなあ…。」

ちょっと照れてみせるうそつき。

「さて…、行きましょう。」

「そうだな。

絶対、世界を救って見せる。」

3人は玉座の後ろにある通路から、

ハーゴン城の内部へと入っていった。

あらたな決意を胸に。

決戦。

決戦。

「…行くぞ。」

「…うん。」

3人は勢い良くハーゴンの待つ城へ向かった。

しかし、そこには―――――――――

「おかえりなさい、うそつき王子!」

「!!?」

「もう、どこに行ってらしたんですかうそつき王子ー。

家臣も王様も心配しておりますよ。」

「な、何を……?

と、いうより、ココは…」

「ココ? なに言ってるんですか王子。もちろんここはローレシア城ですよ。」

――― !?

そうなのだ。

確かにどこを見渡しても、ローレシア城。

植わっている植物から人の顔、建物、

小さい頃に書いた城壁の落書きですら。

間違いなくローレシア城。

「こ、こんな事って……、

ね、ねえとらうま、そんなわけ無いわよね。」

「うん…。ここは間違いなくハーゴンの城のはずなんだけど…、

っていうより、こんなことが起きるはずが無いよ。

きっと何か…」

そこへ、近衛兵が現れる。

「長い間お待ち申しておりました。

ささ、うそつき王子、王様がお待ちでございます。」

「え? ああ、うん…」

うそつきは近衛兵につられて、上へと上がっていく。

「ちょ、ちょっとうそつき!」

「おや、サマルトリアの王子様とムーンブルクの王女様もご一緒でしたか。

どうぞ、ご一緒に。」

近衛兵の誘いに対しとらうまは少し考えると、

「いえ、もう少し城下町を見ていきます。」と答えた。

「そうですか、では…」

というと近衛兵はうそつきの後を追うように去っていく。

「いいの? とらうま…」

「うそつきの事だし、大丈夫だよ。

…それより、ボクにはどうしてもここがローレシアとは考えられないんだ。

もしかすると…」

「もしかすると?」

「これがハーゴンの言っていたまやかしなのかもしれない。」

「!」

「…だから、まずは城下の人に話を聞こうと思って。

その上で判断しようと思う。」

「…わかったわ。でも、早くうそつきのところへ行きましょう。

もしもこれがまやかしなら…」

「…もちろん。」

……

――― その頃。

「おお!うそつき…。

よくぞ戻ってきた。こんなにたくましくなって…」

ローレシア王がうそつきを迎え入れる。

「お、親父…なのか?」

「当たり前じゃないかうそつき。何を言っているんだ?」

信じられない。

信じられないが、目の前にいるのは間違いなくローレシア王だ。

「あ… う…」

「なんだ、何を口ごもっている。

…しょうがないやつじゃ。そこのもの、宴の用意をせい!」

ローレシア王が手をたたくと、無数の料理が並べられる。

「ローレシアいちのコックがお前のために腕を振るったのだ。

さあ、遠慮せずに食べるが良い! ハッハッハッハ…」

そういうとローレシア王はグラスに並々とワインを注ぎ、一気に飲み干す。

赤い、赤いワインを。

「…なあ、親父……。」

「なんじゃ、うそつき?」

「…ローレシアは、平和なのか……?」

「なにをいっとるんじゃうそつき。まだそんなことを……」

「だ、だってよ、オレたちは今の今まで―――」

「ハッハッハ、もう良い、うそつき。

これからは魔物と人間の共存する世界が生まれるのじゃよ。」

「な、なんだって…?」

「そしてワシもハーゴン様の手下にしていただいた。

おかげで見るがよいこの活気あふれる町を!

深く生い茂る草木を!

これが平和でなくてなんだというのだ?」

「バ、バカな…、そんなはず……」

「信じられないじゃろう。ワシも最初は信用しておらんかった。

じゃがな、実際のハーゴン様はそれはそれは心の広いお方じゃった…」

「じ、じゃあムーンブルクは!?

あそこはハーゴンの手によって…」

「それもすべてハーゴン様のお慈悲で復興したわい。

ムーンブルク城に眠る魂をすべてハーゴン様は蘇らせてくださった。

まったくすばらしいお方だハーゴン様は…」

喋り終えると、なみなみと注いだワインをまた一気に飲み干す。

「じゃからな、うそつき、もう何も心配することはない。

ゆっくりと、ゆっくりとこの世の平和を楽しもうぞ! ハッハッハッハ…」

……

「そう…なのか……」

……

――― 一方、とらうまたちは…

「そ、そんなバカな…。」

「本当さ。王様はハーゴン様の手下になって、平和な国づくりをしておられる。

おかげで争いもまったく無い。

いやあ本当にすばらしい御方だハーゴン様は…」

町の人の話を聞いて愕然とした。

そんなバカな話があるか。

「…お前も……」

「?」
 
「お前も、お前も
 
本当は魔物なんだろ!!?
 
正体を、正体を現せッ!!!」

いつにもないトーンでとらうまが町人を攻め立てる。

「ちょ、ちょっとやめてくれよ! ほ、本当のことなんだから…」

「…くそっ……」

許せない。

これが現実?

そんなことがあってたまるか。

じゃあいままでの戦いはなんだったんだ。

こんなものまやかしだ。

そうにちがいない。

そうにちがいないんだ。

「…行こう。」

「えっ?」

「うそつきのところに。 …うそつきがあぶない。」

「…そうね、行きましょう!」

二人は走り出した。

このままでは…

行くぜ、ハーゴン城。

「命の紋章入手」。

ベラヌールへ戻ってきた一行。

「ベラヌールから行けるってことは…、やっぱり旅のトビラとかそういうんだろうなあ。」

「そうね。」

「でもさ、もうこの町の怪しいとこって…」

「無いよなあ。」

「そうよね。」

「水の中にあったりしてな。」

「まさかあ。ウフフ…」

「あのー…」

「? 何?」

「あそこ、あそこ。」

「ん? 教会がどうかしたの?」

「ヘンな通路があるんだけど。」

「どれどれ。」

そこには。

ダメージゾーンが張り巡らせてある細い通路が。

「……」

「な、なんて怪しいんだ…。」

「これは行くしかないわね…。」

ていうか何でお前らこれに気付かないんだよなんていうとまた斬りつけられるので

黙っておくことにしました。

ダメージゾーンから身を守る魔法「トラマナ」を唱え、中に入る。

――――――― が。
 
「何これ!!?」

中には階段がひとつ。

階段を上るとロンダルキアがどうのこうの言ってるドリーミー老人がたたずんでいるだけ。

「行き止まり?」

「いや、そんなはずは…」

老人の部屋をくまなく散策するが、モー娘。のポスターしかない。

しかたがないのでポスターを奪い、泣きじゃくる老人をナックルでガツン。

下に下りてやはり調べていくと…

「あっ! この壁抜けれる!」

「おおっ!」

そこを抜け、外に出ると…。

ついに来た。

ロンダルキア。

ハーゴンの本拠地。

そして、お告げ通り目の前に沼地。

「ココ…か。」

そこで邪神の像をおもむろに取り出し、高く、高く掲げる。

すると…

「!!? う、うわあっ!」

ものすごい地響きとともに、目の前の山脈が変化していく。

落ち着きを取り戻したその頃には、目の前にひとつの洞窟が出来上がっていた。

まるで、

…そう、まるでボクたちを待ち構えていたかのように。

「…今は、前へ。」

「うん。」

「行くぜっ!」

猛然と洞窟に乗り込ん落とし穴ガッシャーン。
 
「痛ェエーーーー!!!!!!」

「あーなんかせっかくカッコイイモードだったのに…」

「あーちっくしょォ!! だが! だがただでは起きないオレ様!

きっとこれもルビスの未来日記!落とし穴に落ちるシナリオも完成済み!

てことは!」

「てことは?」

「このフロアに何かあるはずだっつーのよ!」

「またそんな都合のいいことが…」

「あ。」

「? どうしたのよとらうま。」

「宝箱があるよ。」

「ほら言っただろお前ら!きっとこの中にはステキな…」

命の紋章が入ってました。
 
「うわあああー!!!?」

「す、すごーい!」

「だ、バッ、え!? あ、その、なんだ、すげーだろオレ様!!!!」

「結果オーライだけどね。」

「そうね。」

「う、あ、あーなんとでも言うが良いさ!

…とにかく紋章が見つかったんだ、ルビスの加護を授かりに戻ろう!」

3人は北東のほこらへ戻り、ルビスの神殿の場所を聞き、船をはしらせた。

周りが海で囲まれ、なんともフシギな空間を醸し出している。

「うわあ…」

3人は下へ、下へと進んでいく。

そして…

「ココが最下層か…。」

「なんともいえない、心が安らぐような雰囲気だわ…。」

その時、

5つの紋章が共鳴し始めた。

「! これは…」

紋章はまばゆい光とともにひとつになっていく。

あまりのまぶしさで目が開けられない。

やがて、光が収まり、5つあった紋章は一つのペンダントへと姿を変えた。

今まで誰も見たことが無いような輝きと安らぎをもたらすペンダント。

これこそ、「ルビスのまもり」。

「これが…」

すると、どこからともなく声が聞こえてきた。

「…勇者の血をひきし者たちよ……………」

「!? だ、誰…?」

「私は精霊ルビス。古くからこの大地を見守ってきたものです。

若き勇者たちよ、この世界を救うことが出来るのはもはやあなたたちしかおりません。

いわばあなたたちは世界の、皆の希望。

…行きなさい。そして、ハーゴンを倒すのです………………」

声が消え、あたりに静寂が戻る。

「…なんかさ、

そんな希望だとか、よくわかんないけどさ、

とにかくやれるだけの事をやろうよ。なあ、とらうま、にせもの。」

「うん。」

「そうね。」

「さあ、あの洞窟さっさと抜けて、ハーゴンに一発くれてやろうぜ!」

「イエー!」

3人はまた洞窟へ。

中は巧妙なワナの連続。

ループに継ぐループ、

落とし穴に継ぐ落とし穴。

「あーもう!!!」

「やっぱりそう簡単には通してくれないね…」

「そうね…。でも。」

「でも?」

「たまにはいいこともあるみたいよ。」

そういってニセモノが指差した先にはひとつの宝箱。

開けてみると、中には…

「これは!」

まばゆい青色の鎧。見覚えのある紋章。

そう、「ロトの鎧」。

「これでロトの装備がそろったね!うそつき!」

「おっ、なかなかカッコイイじゃんよ!

しかも、こう、力が湧き出る感じがするし!」

「さあ、こんな洞窟に手間取っている暇は無いわ。行きましょう!」

ザコを蹴散らし、進む進む。

トラップを抜け、突き進む。

その先には。

「!」

…まるで別世界のような凍りついた世界がそこにはあった。

ハーゴンの冷酷さを物語るような大地。

「…何だこれ…………」

そんななかにひとつのほこらを発見した。

中には神官とシスター。

入ると、神官たちは僕らを迎え入れてくれた。

「…私たちはずっと、ずっとあなた方が来るのを待っておりました。

勇者様。

ああ、ついに勇者様が……」

神官は涙を流して僕らを迎えてくれた。

この凍てついた大地で唯一聖なる力で守られた場所。

この地を勇者が現れるまでずっと守り続けていたそうだ。

「…ありがとう、感謝するよ。」

僕らはココで体勢を立て直すことにした。

ハーゴンの城はもう目前。

今までいろんなことがあったけど、

もうすぐ終わるんだ。

いや、終わらせる。

終わらせてみせる。

固い決意の3人は眠りについた。

明日は。

多分今までで一番長い一日になりそうだ。

ゆっくり。

ゆっくり休もう。

まってろ、ハーゴン。

ついにロンダルキアへ。

「水の紋章入手」。

「はいみんな注目ー。」

「はーい。」

「今日からはまだ見ぬ紋章を見つけに片っぱしからドア開けて開けて

もうなんかドアというドアを全開にして影でこっそりあいつドアフェチ?みたいな

噂がささやかれんばかりのツアー、題して!」

「題して?」

「ドアドアツアー。」

「普通だな。」

「普通ね。」

「むしろエニックスつながりだね。」

「ごめん。」

ということでベラヌールに滞在していた3人、改めて紋章を見つける旅に。

……

「さあ開けるぞー。ドアガンガン開けるぞー。

「趣旨違う。」

「ごめん。」

町を巡ってはドアを開ける。

金、銀、牢屋。

ガチャリバタンガチャリバタンガチャリバタン。

……


 
「だーちきしょォー!!!」

「落ち着いてうそつき!」

「だってよ!だってよ!もういろんな町めぐってムーンペタまで来ちまったっての!!!!」

「いや、だってしょうがないじゃんか…。そうかんたんに紋章は見つからないよ。

それにもっと言えば、紋章が町の中にまだ隠されている可能性は

決して100パーセントじゃないし。」

「何!何ですと!全部の町まわっても無いかもしんないって!!?」

「うん。」

「死のう。」

「ちょっとちょっと待ってようそつき!そんなに安易に死ぬ勇者がいるか!

「だって!だって!」

「ほらとりあえずここの牢屋も開けようよ。」

「うー…。」

ガチャリ。

「あっ。」

そこには。

「キキ?」

魔物。
 
「うわー!!」
 
「キシャァー!!!」

モンスターは容赦なく火炎を吐き出す。

「チィ、こうなったら…」

「こうなったら?」

「必殺!とらうまバリアー!!!!」

「!!? う、うわあああああああ!!!!!!!!!」

ゴハァ。

……

「…勝った……。」

1名アフロ。

「危なかったわね……。」

「! だ、大丈夫かとらうま!!!」

「……もうやだ………………こんなパターンばっかり……………」

「しかしビックリしたなあ……、 …ん?」

牢屋の片隅にきらりと光るものが。

それは、水滴をかたどったエンブレム。

そう、それこそ「水の紋章」。

「あー!!!」

「よし、これで4っつ目ね!」

「いいねいいね、さあ、次へ行こう!」

……

しかし。

「…全部の町をまわっても無かったなあ…。」

「そうね…。」

「あと、なんかある?重要なアイテムがありそうなところとか…。」

ほこら…とか?」

「あーなるほど、ほこら………、ん?

「どうしたの?うそつき。」

「あー!まだ行ってないトコあった!!!!」

「ど、どこ?」

「ホラ!ココ!」

そういってうそつきは世界地図を広げ、一点を指差す。

そこはローレシアやサマルトリアよりさらに北東に位置する、まだ見ぬほこら。

「行くしかないでしょ!」

3人は意気揚揚と北東にあるほこらへ。

……

「あ、こんにちは。」

中には一人の神官が。

「…きみたち、紋章はもう、あつめたのかな?」

「! ど、どうしてそれを…。」

「神はすべてお見通しだ。…そうか、紋章はまだ集め終わってないようだな。

フム……。

…話は変わるが、きみたち、邪神の像はもう手に入れたのか?」

「邪神の…像?」

「そうだ。ハーゴンのいる大地とこの大地を結ぶいわばカギのような存在。

それが邪神の像だ。」

…と、その時、とらうまが気付く。

「…これ?」

とらうまはおもむろに海底の洞窟で手に入れた像を見せる。

「! …ああ、間違いない。それこそ邪神の像だ。」

「!!!」

「これがあれば…、ハーゴンの城へたどり着けるのか?」

「それだけでは無理だ。…いや、たどり着くことは出来るが、

ハーゴンのまやかしを破ることは不可能だ。」

「じゃあ、どうすれば…」

「そのためにきみたちは紋章を集めているのだよ。

いいか、勇者の子孫たち。

ハーゴンのまやかしを打ち破るには、精霊ルビスの加護が必要だ。

「精霊、ルビス…?」

「そうだ。そして、ルビスの力を授かるためにはその紋章がどうしても必要なのだ。

紋章を集めし時こそ、ルビスはお前たちを認め、力を貸してくれる。」

「…けど、最後の紋章が……。」

「最後の紋章…。命の紋章のことだな。

案ずるな、大丈夫だ。

いいか、今は先へ進むことを考えるのだ。

ベラヌールの旅のトビラからロンダルキアへ飛べ。

そこの沼地でその邪神の像を掲げるのだ。さすれば、必ず道は開ける。」

「なるほど…ね。

そうだな、とにかく今は出来ることをやろう。」

「そうね…。ありがとう、神官様。」

「頑張るのだ、勇者たち。精霊ルビスの加護のあらんことを…。」

……

「思わぬ収穫だったな。」

「そうだね、邪神の像のことも聞けたし、今は先へ進め…か。」

「よーし、ハーゴンとの対決はもうすぐだ、まずはロンダルキアへっ!!」

「行こう!!!」

「オー!!!!」

3人は一路ベラヌールへ。

平和を取り戻すために。ハーゴンを倒すために。

邪神の像入手。

「テパの村」~「邪神の像入手」。

「…!!」

血のワインが入ったグラスを握りつぶす。

握りつぶしたその手は、怒りに震えていた。

「一体何だというのだ!! 我が呪いすらも打ち破る者が今この世に存在する?

ハッ、たわけたことを抜かすな!!!」

彼の名はハーゴン。

この世を今まさに恐怖の世界へ至らさんとする、悪の神官。

「しかしながらハーゴン様、3人は着々と力をつけ、じきこの神殿にも…」

「3人?」

「はい、ローレシアの王子と、サマルトリアの王子と、ムーンブルクの王女

ございます。」

「…?」

「? ハ、ハーゴン様、いかがなされましたか…?」

「なぜムーンブルクの王女がおるのだ…?」

「は?」

「ムーンブルクの城はすでに陥落したはず!! …なのに、なのになぜ生きておる?

貴様ら、王女の死体は確認したんだろうなッ!!!!」

「はっ、…それは……」

「確認していないというのか!!

…貴様ら、この大神官ハーゴンをなめるなよ!!!!!!!」

その刹那、報告した兵士が炎に包まれる。

「ギャアァァ……」

兵士は灰になることすらかなわず、その場から消え去った。

「…まあ、じきじきにこの私が手を下すのも悪くない。

せいぜい楽しませてくれたまえ…。 クックック…………。」

……

…その頃。

「こんなところにも村があったとはねー。」

ここはテパの村。

川の上流に位置するこの町に、何か情報が無いかとおもい訪れた3人。

「ていうかこんな辺境の村なんか来たってどうせ名産とかいってどこでも売ってるような

饅頭ばっかりですげえ飽き飽きしててその上いまだにプリクラありますとか

豪快にチラシ貼ってあってもちろんゲーセンに入ってるゲームなんて

ぜーんぶストIIターボとかアルカノイドとかなんかすげえ今見ると微妙なゲーム満載で

それはそれでちょこっとやりたくなってるわりにはメローイエローだのタブクリアだの

自販機に入っててなんだか嬉しくなったりコスモスっていうおもちゃの自販機とかもあって

田舎って最高。

「最高なんじゃん。」

「うん。」

「…あんたたち、時代背景もうすこし考えなさいね……。」

なんて話をしているうち、村外れに大きい建物を発見。

「? …あれは、なんですか?」

「ああ、あれは水門といってね、川の水をせき止めてるんだよ。」

「はあ。」

「…しかし、何者かがあの水門のカギを盗んでしまって、

まったく水の調節が出来ないんです。

おかげで下流は干上がってしまい、満月の塔にも行くことが出来なくなって…。」

「満月の塔?」

「はい、あそこに塔が見えますでしょ。あれです。

なんでも、浅瀬を水で満たすことの出来るアイテムが眠っているとか…。」
 
「!!!」

「…そうか、東にある浅瀬で囲まれた洞窟へはそれを使って入るのか…。」

「とりあえず水門に行ってみましょう。」

「…これかー。」

「ずいぶんと変な形をしたカギ穴ねー…、

……?」

「どうした、にせもの。」

「もしかしてこのカギじゃ…。」

そういって取り出したのはあのラゴスの体から出てきた一つのカギ。

「それだ!!」

さっそく入れてみると、カギはスッと奥まで入った。

そのまままわし、門を開放する。

ドドドド…という大音響とともに門は開き、大量の水が下流に向かって流れ込んだ。

干上がった川も潤いを取り戻し、満月の塔までの水路が完成したのである。

「…あ、ありがとうございます!村としてもうれしい限りで…」

「あの、いや、これくらいなんてことないですわ。」

照れながら答えるにせもの。

金目のものが無いかとラゴスの牢に入り、倒れたラゴスから奪ってきたもの

こんなところで役に立つなんて…。

まさかこの村にきたら売っ払おうなんて考えてたことが知れたら…。

「あーでもそれ実は盗賊から金目の」

ドグッ

「ゴふァ」

「な、なんでもないですのよホホホホホホ! さあ、いきましょう!」

なぜうそつきが今ブローを食らったのか。

わかるはずも無いとらうま。

「ねえなんで今ブロー」

ボグッ

「グはッ」

「オ、オホホホホホホホ、それではー♪」

倒れた二人を引きずり、一行は満月の塔へ。

「さあ! ピシッとしなさいピシッと!」

「ヘンだな、村での記憶が…」

いまいちよくわからないまま3人は塔をのぼりつめる。

そして。

「あれだっ!!」

3人は神々しく光る一つの石を手にした。

それこそ「月のかけら」

「よし、さっそくあの浅瀬に囲まれた洞窟へ行くぞー!」

一行は東の大海へ。

3人は洞窟の周りの浅瀬で「月のかけら」を使う。

すると見る見るうちに海水が満ち、洞窟の周りを取り囲んでいた浅瀬が無くなって行く。

「すごい…。」

「よし、行くぞ!」

中に入ると、そこは溶岩だらけ。

「海底火山かなんかなのかな…。」

「あちー。」

「アチー。」

「ほら、魔物もかなりの熱さに参ってるね。」

いうなり魔物が僕らに襲いかかってきたヨ☆

「だーこの! クソ熱いときに!!」

「魔物は元気ねー…。」

押し寄せる熱気とダメージゾーンに耐えつつ、奥地へ奥地へ。

すると。

中に祭壇のような物があり、怪しげな像が祭られていた。

大きな火を灯し、神官が2人祈りを捧げている。

「…おい。」

「!! ニ、ニンゲンカッ!!!」

「てめえら…、
 
このクソ熱いところで火なんて使うなあああああああああアアアあああああ
 
アあぁ
アアああアアアアああ
 
あAAaaaaAaGGgGHHHhhhhHhH
 
hhHhhhhh!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「ヒ、ヒィィィィ!!!!」

2人の神官を打ち倒し、その異形の像を手に取る。

「紋章…ではないようだな。」

「けれど、こんなところで大事に崇められていたんだ、きっとなんかあるよ。」

「そうね、持って帰りましょう。」

そのままベラヌールへ帰還。

宿屋での夜。

「あー、汗だくだっての…。」

「本当…。」

「さて、これからどうしようか……。」

「まずこの像が一体なんなのかってのが知りたいね…。

あと、まだカギを使って入れるところを調べ尽くしてないし…。」

「そうだな。まあ、とりあえず明日だ。明日。お休みー。」

……


 
「バ、バカな!!?」

「ハーゴン様、落ち着いて!」

「こ、こんなやつらが紋章をもうすでに3つも集めてなおかつ邪神の像も入手していると!!?

ふざけるな!!! 私は断じて認めん!!! 認めんぞ!!!

ていうかあの王女、女の皮をかぶった犯罪者じゃねえか!!!!

だいたいメローイエローは良いとしてタブクリアなんて色が透明なダイエットコーラじゃ…」

「ハーゴン様、落ち着いて!落ち着いて!」

「え?ああ、ああ…。

それにしてもあんな連中に愛しい私の部下が…。

…もう許さぬ。

今のうちにせいぜいいきがっておくが良い…。

この手で絶望を味あわせてやる! フ、フハハハハハハハ……」

ハーゴンとの対決の日は、近い。

かも。

王子に呪いが。

「ベラヌールの町」~「へルポイの町」。

「う…、うううう………。」

「どうしたの?」

「なんか、朝から急に苦しくなって…。」

「昨日マドハンドなんて食うからだよ。」

「食ってないよそんなの!」

「食わせたもん。」

「食わせたのー!!?」

………昨日ボクらは水の街「ベラヌール」で一泊した。

本当に、ただ一泊しただけ。

もちろんマドハンドは冗談で、…いや、靴に画びょうは入れたんだけど(入れんな)、

突然とらうまが苦しみだして…。

「お医者さん、呼ぼうか?」

「いや、なんかそういうカンジじゃないんだ。病気とかじゃなくて、なんていうか…。」

「じゃあキラータイガー、呼ぶ?」

「なんでそうなっちゃうんだよ!」

「またデルコンダルの時みたいにカプつかれれば。」

「カプつかれれば?」

「面白いなあって。」

「ダメじゃん!!!!」

「…しょうがねえなあ、ちょっとひと歩きして、わかりそうなヤツ探してくるよ。」

「う、うん…。」

二人で町を散策する事にした。

いろんな人に聞いてまわったが、皆そういう病気は聞いた事が無いというカンジだ。

しかし。

とあるジイさんが、こんな話をしてくれた。

「…もしや、それは呪いかもしれぬ。」

「呪い?」

「お主たち、聞く所によるとハーゴンを倒すために旅をしているとな。

…それならばあのハーゴンのことじゃ、呪いをかけてきてもおかしくないわい…。」

呪い。

今まで目に見えるものとしか戦ってこなかったが、呪いじゃあどうしようも出来ない。

「何か…、何か打つ手は?」

「そうじゃな…。

ここよりはるか東の孤島に世界樹と呼ばれる木がある。

そこの葉を取り、煎じて飲ませればいかなる災いも振り払う事が出来るという…。」

「…よし、とにかく今は行動だ! いくぜ、にせもの!」

2人は船に飛び乗ると東へ東へと航路を取った。

と、その途中で。

「ねえ、あれ、あれ。」

「どうした?」

「あんな所にも町が…。」

そこはへルポイの町。

町が地下にあるという、一風変わった町。

「…ちょっと寄っていくか……。」

……

「キャァァーミンクのコート欲ーしーいー買ーってぇー。」

「んーどれどれしょうがないなあパパに任せなさい。」

「65000ゴールドになります。」

「いりません。」

「ちょっとなんでよ!いま任せなさいとか言ってたじゃないのよ!」

「それとこれと金は別だ。」

「ふざけないでよ!!

そんならあんたのロトグッズでも売って金つくりゃいいでしょ!!!!」

世界を揺るがす無茶を言う女を抱え、今後が心配になるうそつき。

「…もう……。あ、ちょっと、道具屋も見て行きましょうよ!」

「次から次へとこいつは…。」

「らっしぇー。」

「えーっと、毒消し草とキメラの翼と…、」

「ミンクのコート。」
 
「だからココにはねぇしあっても
 

買わねえよこんクソアマアアアァァア
 

アァァァァアアアアァァアアアア!!!!!」

「なによ!じゃーさ、

なんか珍しいもの売ってないの!!? 他では絶対買えないような物とか!!!!」

「!!?」

店の親父の眉がピクリと動く。

「い、いやだなあおじょうちゃん。そんな珍しいものなんて売ってないよ……。」

「つーかなんなのよここのメニューの空白は!!!

あー、もしかしたら、なんか隠し玉あるんでしょー!!!!」

ドキィン。

店の親父がうろたえる。

「えっ、あっ、あのねェ…。」

それに感づいたうそつき。

「…あんたさあ、なんか隠してるだろ。」

ヅキュウン。

ガクリと膝から崩れ落ちる親父。

「う…、あ…。 な、何故わかった……?」

いや、誰でもわかるよそりゃと言うのも可愛そうなので黙っておく。

「…そうかい、見破られちゃしょうがねえ。 2000ゴールドで、どうだい?」

と、オレたちに見せたのは「牢屋のカギ」

「……もらおうか。」

「まいど。」

で、ついに「牢屋のカギ」ゲット!!

と、そこへ一人の兵隊が。

「ハァ、ハァ…。き、君達、ラゴス…。ラゴスを知らないか?」

「誰よ、それ。」

「凄腕の盗人で、先日ついに捕まえたと思ったら突然牢から姿を消したんだ…。

もしも見つけたら、知らせてくれ。じゃっ。」

そういうと兵隊は走っていった。

「んー…。牢屋のカギもある事だし、ちょっとそいつの入ってた牢屋を調べてみようか。」

「いやよ。面倒くさい。」

「財宝が落ちてるかもよ。」

「行きます。」

さっそく入ってみる。

「なによ、やっぱりもぬけの殻じゃない。」

「うーん、何か手がかりは…。」

と、目の前の壁をよく見てみると。

壁のレンガがおもいっきり風になびいている。

いや、レンガ風の絵がおもいっきり風になびいている。

「…はぁー……。」

「? どうしたのうそつき。」

「いや、こんなんでいいのかなー…って。」

レンガの絵をめくる。

するとそこにはラゴスの姿があった。

「! はぅああ!! ど、どうしてココがわかったんだ!!!」

「…………………」

とりあえず斬り付けてみました。
 
「ギャハアアアアァアァア
 

アァァァ!!!!! ひ、酷い!!!!」

「うるせえ。なんかよこせ。」

「何ッ!! だっ、大盗賊のこのオレ様に向かって…」

ラリホー。

「うーんムニャムニャ…。」

グッスリ。

「こいつもう一発殴りてぇ…。」

「…そんなことより、こいつ何か持ってないのかしら…。」

何から何まであさる王女。

と、

「? 何これ。」

一つのカギが。

「まあいいわ、もらって行きましょう。」

「…ところで、にせもの。」

「何かしら?」

「オレ達、何かすげえ大事な事を忘れてるような…。」

「………」
 
「…………あーッ!!!!!!!!」

……

ココはベラヌール。

「とらうまッ!!」

とらうまの表面に紫の斑点が。

ザ☆虫の息。

「やべえ…。」

とにかく、世界樹の葉を煎じて飲ませる。

あのあと一行はさらに東にある孤島に世界樹を見つけ、

葉を拾い大急ぎで戻ってきた。

「たのむ、とらうま…。」

すると。

みるみる顔色がよくなっていく。

「ん…。」

「とらうま!!!」

「よかったあ…。」

ゆっくりと置きあがる。

「うん、みんなには心配かけて、ごめん…。もう大丈夫だから。」

道草してたなんて言えない。

「あー…っ、そうだよね、そうだよ、そうそう、元気で何よりだよー…。」

フゥ。

「よし、さっそく出発だー!」

と、靴を履いた瞬間。
 
「痛ッッッキャーーーー!!!!」

そこには忘れ去られた画びょう。

画期的画びょうオチ。

一行はまた旅に出る…。

そしてベラヌールへ。

「ザハンの町」~「聖なるほこら」。

漁師の町ザハン。

男たちは一年のほとんどを海の上で過ごす。

「どうりで肝っ玉かあちゃんが多いわけだ。」

「そうね、とってもしっかりしてる。

こうでないと漁師の奥さんなんてやっていけないわよね…。」

「泉ピン子クラス?」

「何が。」

「いや、肝っ玉度合いが。」

「どういう例えよそれ…。」

とまあ色々話しつつ町のなかを散策。

と。

「ちょ、ちょっとそこのお兄ちゃん!」

子供が話しかけてくる。

「おっ、なんだい?」

「あのね、あのね、そこのね、犬がね、犬がね、ぼくのね、そでをね、ひっぱるの。」

「実はケルベロスかもよ。」

「ケッ、ケルベロ…、うわああああああん!!!」

「ちょっとうそつき、子供泣かしてんじゃないわよ!」

「ああ、ごめんごめん。本当はヘルハウンドだよ。」
 
「うわああああああああああああん!!!!!」

「やめなようそつき!」

「いや、おもろいから。」

「…それはそうと、ねえうそつき、あの犬こっち見てるわよ。」

「…なんだろうな。」

こっちも見つめ返す。

するとまるで「ついてこい」と言わんばかりの風体で犬は歩きはじめる。

ついていくと犬は突然立ち止まり、アゴで地面を指した。

「この犬畜生!! てめえ人間様に指図するってのか!!」

「おちついてようそつき、なんかきっとあるんだよ。

どれ………………………、ああッ!!!」

「? どうしたのとらうま?何かあったの?」

「これ、金のカギだ…。」
 
「えーッ!!!!!」

犬は「おまえらにくれてやる」といった表情でうそつきの目を見た。

「ぐ…、このオレ様が畜生風情に……。」

「まあいいさ、ありがたくもらっておこう。」

「ありがとねえワンちゃん。おりこうおりこう。」

にせものに撫でてもらいつつ、

「人間風情が生きがってんじゃねえよ」という表情でうそつきを見る。

「うがあああああああああ!!!!!!

どけにせもの、こいつはハーゴンの手下だ!!! 2回は死なす!!!!」

「ちょっ、やめなさいよワケわかんないこと言って! もう行くわよ!」

「離せ、はーなーせーッ!!!」

……

「とまあ、金のカギを手に入れた事だし。」

「そうね、今まで行けなかった所に行ってみましょう。」

所変わって、デルコンダル城。

「お、おい、何をするんだ、これは私のものだ、やめろッ!!!」

「うるせえこの野郎、がたがたぬかしてねえでよこせェ!!!!」

「お…、鬼だ、あんたら鬼にも勝るド畜生だアアア!!!!!」

武器屋のうら手にまわり、「ガイアのよろい」ゲット。

「…あのさ、うそつき。」

「なんだよとらうま。」

「それって勇者のする事じゃないんじゃないの…。」

「何言ってんだよとらうま。

優良な一般ピープルからちょっと拝借したまでさ。勇者の特権つーの?」

「うーん…。」

「だってオレたち他人のタンスから物パクっても何も言われないじゃん。

いいよなー。勇者って。最高。」

「……。」

ものすごく間違っている。そう確信したとらうまでした。

「あ、そういえば。」

「何? まだ盗りたらないの?」

「そうじゃねえよ!

…いやさ、ウチの城の中にも金のカギでしか行けない所があったなー…って。」

「じゃあ早速行ってみましょうよ!」

一行はローレシアへ。

扉で閉ざされた部屋で金のカギを使い、中に入る。

と、中は宝物庫だった。

その警備に当たっている兵士が一人。

「う、うそつき王子!ご無事で何よりです…!」

「うーんと…、あのさあ。」

「はい。」

「なんで中から開けてくれなかったの?」

「あ、いや、その…、ちょ、ちょっと、剣で突っつくのやめてくださいよ、いたっ、痛いっ。」

「ねえ?ねえ?ねえ?」

「あ、あのっ、いたっ、ですから、んと…。」

そこへ。

「わしじゃよ。」

「! ち、父上…!」

「お前にはまだ早過ぎると思ってな…。

その兵士に扉を開けないよう命じておいたんじゃよ。

…そこの宝箱を、あけて見なさい。」

中には。

「これは…。」

紛れもなく「ロトのしるし」。

「お前に本当に勇者になる素質があるかどうか試したくてな…。

本当に勇者になるべきものなら、

金のカギを探し出す事などたやすい、と思ったんじゃよ。

仲間ともうまくやれているようじゃし…。

よかろう、そのしるしを持っていくが良い。」

「父上…。」

とりあえず。

ギラとか唱えてみました。

「な、何をするんじゃあ貴様ら!!!! わしの、わしのガウンがああああああ!!!!!!」

「うっせー偏屈ジジイ!!! さっさとよこしゃーいいんだよ!!! バカ!!! 死ね!!! 逝ね!!!」

「キ、キッサマアアアアアアア!!!!!

捕えろ!あいつらはハーゴンの手下じゃ!!! 2回は死なす!!!!」

そう叫ぶと、ワラワラと兵士が集まってきた。

「…血は争えないわね……。」

「なっ、何がッ!!?」

とにかく逃げる勇者たち。
 
「チッキショウ覚えてやがれええー!!!」

「やがれええー…」

「れえー…」

「…私たち、本当に勇者なのかしら…。」

「…」

「そ、そうだ、ボクのお城にもあったよ、金の扉。行ってみようよ!」

「うん…。」

その足で一行はサマルトリアの城へ。

金の扉で閉ざされたその部屋に、老人が一人。

「…お待ちしておりましたとらうま王子。

これがかの有名な勇者ロトが装備していたとされる、ロトの盾ですじゃ。

さあ、受け取ってくだされ…。」

「ああ、ありがとう…。」

その日の宿屋にて。

「いいなあ、とらうまは…。」

「なんで?」

「オレさあ、今までずーっと勝手にしててさ、

その・・・勇者らしいふるまいとか、そういうの、わかんないんだよね…。」

「…いいんじゃない?」

「え?」

「ぼくはうそつきのそういうとこ、うらやましいけどなあ。」

「そ、そうか?」

「うん。ボクなんて言いたい事もきちんと言えないし、閉じこもりがちだし…。

「そう…か。」

「そうだよ。…あ、そうだ、うそつき、このロトの盾、うそつきが使ってよ。」

「え? なんで…。」

「ボクじゃあとても使いこなせないよ。…それに、うそつきなら似合うよ。その盾。」

「そう? …じゃあ遠慮なく使わせてもらうよ。 …その、あ、ありがとうな。」

「ううん。」

…次の日。

一行は「聖なるほこら」へ。

「この兜はな、勇者ロトの血を引きし物にしか渡せないんじゃよ…。」

そういわれるなり、すぐさまロトのしるしを見せる。
 
「オレたち、勇者です!」

元気良く、そう答えた。

勇者として。

勇者らしい事ってなんなのかわからないけど、自分の進む道が正しいんだと思う。

それが勇者なんだと思う。

そう信じて。

「…この次はどこ行きましょうか…。」

「あ、地図でいくと…、こっちの方、行ってないわね。」

「よし、行こう!」

一行は水の町ベラヌールへ。

「うみうしなんざすべてブッた切ってくれるわああー!!!」

変わらない勇者たちは今日も行く。

紋章2つゲット。

「月の紋章入手」~「太陽の紋章入手」。

次なる紋章を求め、心霊呪殺号は東へ航路を取った。

「あ?あれ…。」

「! お城だ!!」

ムーンブルクも竜王の所もガレキ同然だったのでまともな城を見るのも久しぶりな一同。

「いこういこう!」

「な、何これ…。」

どうも違和感が。

いや、お城には間違いない。

間違いないのだが、城の中心がひらけていて、オリが一つある。

中でグルルルルルルって言ってる。

「なんか…いるね。」

「…肉食系?」

「たぶん…。」

中を覗くとキラータイガーが。

美味しそうという眼差しで。

「飼ってる…のか?」

「まさか。」

「あ、今、目があった。」

「とらうま、アンタお気に入りらしいわよ。」

「え、ええええええ!!?」

「威嚇してみよう。」

「やめようようそつきぃ!」

「だーいじょうぶだよ、オリに入ってんだからあ。」

そういうとおもむろにやまびこの笛を。

ババババババババボッフー。

「グァ、グルルルルル、ゴハァッ!!!!!!」

「お、いきり立ったいきり立った。」

「だからやめてってば!!」

ババババババババボッフー…

ババババババババボッフー…

「う、うそつき、何も2回吹かなくったっていいじゃん!!!!」

「…へ?」

「…?」

「もしかして…。」

「ココにも…。」

「…ねえ、とにかく王様に謁見しましょうよ。

紋章のこととか、何かわかるかもしれないわ。」

「…よし、そうだな。」

3人は王様のもとへ。

「あーっはっはっは、よく来たねえ。ようこそデルコンダル城へ!!」

「りっぱなおなかですなあ。」

「バ、バカッ、なんてこというのようそつき!!」

「フム、なかなか面白いやつじゃな。

…そうじゃ、おまえたち、ワシと楽しいゲームをせんか?」

「…ゲーム?」

「そうじゃ。そこのキラータイガーと戦って、勝ったらこいつをやろう。」
 
「…!!!!」

「そ、それは…。」

それこそまさに月の紋章。

「そうか、さっきのやまびこの笛はこいつに…。」

「もちろん負ければ…。エサ、じゃな。」
 
「ヒィィィィィ!!!!」

しかし断る手はない。

「…受けてたちましょう。」

「えええええ!!? なんか他に方法ないのうそつき!!?」

「大丈夫だってとらうま。」

「な、なんで大丈夫なのさ?」

「食われるのはお前だから。」
 
「ヒギャアアアアアァァア
 
ァアアアアァァアアン!!!!!!」

「よしそこの者、牢を開けェい!!」

ヤツが顔を出す。

獲物を捕らえる目で。

獲物を捕らえる動作で。

「…よし、来るぞッ!」

「グルルルヮアアァア!!!!!!!」

……

「いやあ、危なかった…。」

「…」

頭にごっついキバのあとがあるとらうま。

「ほんとに強敵だったわね…。」

「…」

無数の引っ掻きキズがあるとらうま。

「…とらうま?」

「…」

「…大丈夫だったとらうま?」

「…」

「へんじが ない。 ただの しかばねのようだ。」

「茶化すなああああ!!!!

なんで!!!なんでボクばっかりねらわれるんだあああ!!!!!!」

さりげにとらうまを盾にしてたなんて言えない。

「いや、ほら、がんばったよとらうまも…。」

「そうよ、…ねえ、元気だして。」

とらうまにさらなるトラウマが。

「…さて、

なあ王様、約束通りキラータイガーは倒したぜ。

約束の物、くれよ。」

「ウ、ウム!皆の戦いぶり、実に見事であった!!

まさか一人が攻撃を受けつづけている間に剣と魔法で打ち破るとは、さす…」

そこまで喋るやいなや、うそつきとにせものは王様の喉に武器を突き付けた。

「それ以上喋るんじゃねえ…。でないと…死ぬぜ?」

「わ、わかった…。」

「? なに? どうしたのみんな?」

「いや、なんでもないんだ。なんでもないんだよ…。」

「そうよとらうま、気にしてはいけないわ。」

「?」

「…まあとにかく約束は約束じゃ。これを授けよう…。」

月の形をした、エンブレム。

うそつきたちは、2つ目の紋章を手に入れた!

「よーし快調!この調子で行こう!!」

そのまま船で南下。

…する途中にいくつかほこらがあり、

旅の扉も沢山あるのだが行った先にはすべて金の扉がたちはばかり、

金のカギがないとせっかくの旅の扉も役に立たない。

「…どこにあるんだろう金のカギ……。」

紋章だけでなく新たな謎も浮上して来た。

「うーん…。」

「まあ悩んでもしょうがないわよ。情報を集めない事には…。」

と、またほこらを発見。

「どーせまた今の段階じゃ意味無いようなほこらなんじゃないのー?」

半信半疑の3人。

しかし。

「ほら、やっぱり旅の扉しか…。 ん?」

ほこらの片隅でキラリと光るものが。

「何…? これ…。

…………………!!!!!!!!!!!!!!」

それは太陽の形をしたエンブレム。

「も、もしや……。」

「ま、まさか……。」

試しに。

ババブブー。

ババブブー…

ババブブー…
 
「うわあああああああ!!!!!!!!」

突然太陽の紋章ゲット。

「いいのかそんな事でー!!!!??」

「ハーゴンって頭悪りー!!!」

「やった、やった、やった、やった…」

突然紋章を見つけた3人。

「いやーいい拾いもんをしたねー…。」

「本当ねー。」

「あ、しかもあれって…。」

「! 町だ!!」

目と鼻の先。

そこは港町ザハン。

「よーし、レーッツゴー!!!」

更なる情報を求め、一行はザハンへ。

がんばれ、3人。負けるな、とらうま。