あつまれどうぶつの森 第0話

無人島移住プラン。
ぼくはそれまでの生活を捨て、
この魅力的なプランに申し込んだ。

もうすぐ島に着く。
潮風が気持ちいい。

でも、何かを忘れているような……


「破綻……」
「そう」

大柄な動物が周りを囲んでいる。
対面に座る狸。
煙草をふかし、吹き付ける。
何も言えない。
何も言い出せない。

「村の経営は……ゲームじゃない」

煙草をカーペットに落とし、踏みつける。
メンソールに混じる、床の焦げた匂い。
窓には月明かり。
今日はひときわ、静けさが身にしみる。

村民はもちろん、
しずえさんも、数年前に姿を消した。
放置された村の状況に耐えられなくなったのだ。

「本当なら、だなも、なんて言いたい所だが……」

ポケットから小さなケースを出す。

「そうも言ってられないんでね」

ケースをおもむろに開ける。
中には小さなカプセル。

「今からキミは我々のものだ。村を飛び出し、無人島で働いてもらう」

動物達がおもむろに背後に回る。
腕を思いっきり持ち上げられ、羽交い締めにされる。
一匹が、私の頬をガキッと抑える。
抵抗しても逃げられない。口が自然と開く。

薄笑いを浮かべる狸によって、
カプセルが、口の中に入れられる。
涙がこぼれる。
恐怖で全身が震える。
後悔の念が押し寄せる。
でももう、どうにもならない。

「生まれ変わるんだ……。働くために生きる者、いや、機械として」

カプセルが、喉を通る。

脳が焼けるように熱い。
汗が止まらない。
視界がブラックアウトする。
さまざまな思い出が闇の中に吸い込まれていく。
言いようのない浮遊感。
上も下もわからない。
何も聞こえない。
キモチイイ。

私は…


「無人島へ!ようこそだなもー!」

これからぼくの、新たな生活が始まる。
とっても楽しみだ。
ステキな島にするぞ!


これが、TYPが極秘に入手した、あつまれどうぶつの森第0話。
3月20日、労働開始。

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