「サマルトリアの城」~
「サマルトリアの王子仲間に」。
サマルトリアについた「うそつき」。
とりあえずは王様に謁見だ。
「ようこそうそつき君。」
「(銅の剣を喉元につきつけて)その名で呼ぶな。」
「…わかった。とりあえずその剣を収めたまえ。」
「チッ。」
「…さてローレシアの王子。我がサマルトリアの王子はすでに旅に出ておる。
きっと今ごろは勇者の泉に向かっていることだろう。
君も早く追って、一緒に戦ってくれたまえ。」
ここにはいないのか…。
いないものは仕方がない。
さっそくその「勇者の泉」に向かうとしよう。
情報ではローレシアの北に位置しているらしいので、
いったんローレシアに戻り体勢を立てなおして出発。
すると。
周りが毒の沼で囲まれている湖発見!!
あやしい。これか。
毒の沼で血を吐きつつ一歩一歩調べる。
「階段があるはずだゲフッ、一体ゴフッ、どこにグフッ…」
あるわけがない。そこはただの毒の沼地なのだから。
しかしとりあえず何かあるかもしれないので3周してみる(実話)。
「ファイナルラップだ…、ブ!! んがフ!!!!」
やはりなにもないのでとぼとぼ帰還。
宿屋に泊まって翌日、普通に「勇者の泉」発見。
「あの日一日、毒の沼の中でオレは一体何を…。」
しかしそんな事を今は気にしてはいけない。
ダンジョンを突き進み、奥地へ。
すると最深部に大きい泉と一人の老人が。
ここか!
「おいジジイ!ここにサマルトリアの王子が来てるはずなんだが…。」
「…彼ならもうとっくに旅だったわい。」
とりあえず斬り付けてみる。
「なッ!! 何をするんじゃあ!!!」
「うるせえ!! 気がきかねえジジイだな!!! 引きとめておくとかしとけよ!!!」
「…サマルトリアの王子はそんな暴言は吐かんわい……。」
「なんか言ったかテメエえええ!!!」
「い、いえ、なんでもないですじゃ…。それより王子、
今ごろは彼もローレシアへ向かっていると思いまする。
早く見つけ出して、一緒に冒険してくだされ…。
それと、王子の体力を回復して差し上げましょう。
王子の旅に幸のあらん事を…。」
「…ありがとうよ。じゃあ、オレはこれで行くから。悪かったな……。」
「あ!ちょっと王子!!」
「なんだ?」
「お金をいただいてませんですじゃ!!
お金次第でなんでも
Recoverですじゃあああ!!!」
ゲスッ
「あフゥン」
おぼれる老人を尻目に、王子は旅立ちました。
一路、ローレシアへ。
「…王子はすでにサマルトリアへ向かったぞ。」
「はあ?」
「だから、お前がいないから、先に旅だったんじゃよ。」
「…………」
ヤツあたりしても仕方がないのでサマルトリアへ。
「まだ我が王子はここには着いてないぞよ。」
「…………………じゃあどこなんですかね………。」
するとサマルトリアの王子の妹が。
「おにいちゃんはのんびり屋だからどこかで道草でも食ってるんじゃないかしら…。」
「……………………………………そう……ですか…………………。」
ローレシアとサマルトリアの間で道草を食うとすればあそこしかあるまい。
そう、「リリザの町」。
案の定、彼は宿屋でくつろいでいた。
「死ぃねええええーーー!!!!!」
「ひ、ひぃぃぃッッ!!!!」
「避けるんじゃねえ!! おとなしくオレの刀のサビになれええ!!!!」
「ち、ちょっとまって!! ボク何にもしてないよう!!」
「だったら王子は王子らしくだまって玉座に座ってやがれええ!!!」
自分も王子なのに。
「…そうだ、貴様を殺る前に名前くらいは聞いておいてやるよ…。」
「な…、名前?」
「そうだ。さあ、早く言えよ。」
「…ボクの名前は……。」
「何? 聞こえねえぞ!!」
「…ボクの名前は………とらうま!!
とらうま王子だあああー!!!」
泣き崩れる王子。
どうしてもこの名前だけは言いたくなかった。
この名前のおかげでいつでもネガティヴ思考になったんだ…。
もう生きていても楽しくない……。
この旅だって、自殺旅行みたいなもんさ…。
ああ……。
いっそこのまま斬られた方が…。
「…立てよ。」
「え?」
「…いや、お前も名前のことで苦労してるんだなって…。
そうしたら、なんか他人には思えなくってさ……。」
「…き、君の名前は?」
「オレか? オレはローレシアのうそつき。うそつき王子さ…。」
…ボクと同じ境遇の人がここにも。
けれど元気にやってるじゃないか。
それに比べてボクは…。
「…ねえ、一緒にハーゴンを倒そうよ。きっと倒せる。そんな気がするんだ。」
「ああ。さあ、行こうぜ!」
ヘンな所で結束が深まった二人。
「うそつき」と「とらうま」は、次なる町「ムーンペタ」へと歩き出した…。