パックマンです。
あのパックマンです。
ナムコの超有名キャラです。
最初はなんかマンガに出てくるチーズみたいな形をしてて
ドットをパクパクたべたりパワーエサを食べてモンスターをやっつけるという
超オーソドックスな固定画面のゲームでした。
これが空前の大ヒット。
ゲーム知らない人でも「パックマン」くらいは知っているんじゃないでしょうか。
その人気はパクリゲーが多数排出されたことからもうかがえます。
そんなパックマンが装いも新たにスーパーファミコンで登場しました。
まったく別のゲームとなって。
…つーか、
どうもこういう文章の展開になると「おやおやクソゲーなんじゃねえのか」なんて
タカをくくってくる人が必ずいますっていうかほぼ全員だと思いますが、
そうじゃないです。
そうじゃないんですよ。
このゲームは面白いのです。
ですがすげー文章で伝えにくいですこのゲーム。
なのでゆっくりと、まずは説明から。
パックマンなのですから主人公はどうしたってパックマンです。
が。
正確に言うと今回のパックマンは、
私たちの命令に時には忠実に、
時には気ままに行動する不思議黄色物体といえます。
以下、物体と呼びます。(←パックマンて呼んでやれよ。)
私たちはこの物体を操作して、
物体の家族の悩みを解決していかなければなりません。
え?なぜって?
そりゃ、一家の主なんですからしょうがないでしょう。
…一家の主。
物体もえらくなったもんだ。
昔はただ迷宮をモンスターに怯えながらわずかな食料(ドット)で食いつないでいた
しがない捕虜だったのに。(←まさかのアナザストーリー。)
まあそれはいいとして、
つまり今回のゲームは
物体の家庭で起こるさまざまな事件を物体自らが解決していくことが目的と
なります。
てことはアクション?
違います。
アドベンチャー?
違います。
RPG?
違います。
サウンドノベル?
それはない。
そうじゃねえのです。
このゲームのジャンルはズバリ、
「物体観察日記」です。
物体観察ゲーです。
新しいでしょう。新しすぎるでしょう。
ではどういうことなのかというと、
確かに物体を操作するのですが、正確には物体を操作しません。
物体を動かすのです。
例えば。
物体が左に向かって歩いているときに右に行かせたいときは、
「LOOK!」と呼びかけて振り向かせます。
上を向かせるときも「LOOK!」と呼びかけて上を指定します。
そう、つまりプレイヤーは物体を遠まわしに操らないといけません。
しかし呼びかけだけではやれることも少ない。
そこで登場するのが「パチンコ」です。
プレイヤーはフィールドにパチンコを打つことによって話を進展させることが出来ます。
例えば物体に拾っておいて欲しいものがあるとき、
物体が通り過ぎる前に目標をパチンコで打ちます。
すると物体はその物に興味を示し、
拾い上げたりするなど何らかのリアクションを起こします。
このパチンコが超重要。
高いところにあって取れないものはパチンコで打ち落としてあげたり、
邪魔になりそうなものはパチンコで事前にどけておいたり、
物体の代わりにスイッチを押したりなど、
黙って見ていると本当に何もしないままズンズン歩いていく能無し物体の
フルサポートをパチンコで行い、ストーリーを進めていきます。
この呼びかけとパチンコさえあれば話もスムーズに…行くのですが、
そうはいきません。
このゲームのジャマとなる2大要素があります。
ひとつはおなじみ「モンスター」。
物体は道端でモンスターに出くわすと自分の捕虜だったころを思い出し、
そのトラウマで立つことすら出来なくなってしまいます。(←捕虜エピソードやめれ。)
しかもほっとくと物体はモンスターにいじめられてやられてしまいます。
そんな状況の打開策が、これまたおなじみ「パワーエサ」。
パワーエサを怯える物体の前にパチンコで放置すると、
物体はそれを咀嚼し、一瞬にしてアメリカの通販の人のようになります。
微妙に筋肉のついた物体はモンスターを追いかけ回し、
ストライクスバックとばかりにモンスターを食べる。食べる。食べる。
やるな物体。やることが鬼だぜ物体。
ただしパワーエサは持てる個数に上限があるため、
結局のところなるべくモンスターとの戦闘を控えなければいけません。
…そして。
もうひとつのジャマ要素。
それは。
「物体自身」です。
こいつジャマです。(←すげえセリフ。)
なぜか。
直接動かせないからとかそういう次元の問題ではありません。
こいつの性格が問題なのです。
ちょっと嫌なことがあるとすぐがっくり肩を落としたり突然キレだして顔真っ赤にしたり。
すると、
こっちの言うことを聞かなくなるんです。
「そっちは落とし穴があって危ないから右行け右」つって「LOOK!」と呼びかけても
「だめだ、オレはだめだ、もう誰も信じられないああ生まれてさえこなければ」という
太宰治的思考に陥って穴にスパーン。
「そっちは崖だからほらこの看板見れ」つってパチンコ打ちまくっても
「バッキャローお前崖が怖くてパックマンやってられっか」という
毒蝮三太夫的思考に陥って崖にスパーン。
ていうか落ち込んでも何してもいいけど穴は避けようよ。なあ。
まあ、いままで迷宮の片隅で震えながら生きていたのにここに来ていきなり
家庭持ち始めたりしたもんだから、
環境の変化についていけなくなったんだなあ という事にしておきましょう。
ね。そうしましょう。
…と、いろいろ書きましたが、
トータル的にこのゲームは面白いです。
物体のしぐさやパチンコを打ったときの周りの反応とかはすごく良く出来てるし、
他に似たようなゲームがあるのかどうかはわかりませんが
コンセプトはかなり新しいんじゃないでしょうか。
物体改めパックマンの生態、
ゼヒご観察ください。