「ねーお父さん」
「なんだい?マチヒコ」
「今日はクリスマスだよね。サンタさんくるかなあ」
「来ないよ。」
「えっ?ぼく悪い子にしてた?」
「いいや、悪い子ではないよ。ただサンタだけは絶対に来ない。断じて来ない」
「ど、どっ、どうして?」
「それはね、お父さんがゼラール教の信者だからだよ」
「?? それ何?ゼラール教っていうのは何?」
「ゼラール教はゼラール教だよ」
「ゼラール様がすべてを支配するのよ」
「お母さん!」
「安心しなさいマチヒコ。プレゼントはきっと届くわ」
「えっ?サンタさんくるの?」
「いいえ、サンタさんは来ないわ。絶対に。断じて、断じて来ない」
「そんなに強調して言わなくていいよ…。じゃあ誰が来るの?」
「鉄球よ」
「鉄球!!?」
「手ごろな大きさの鉄球が窓を割って入ってくるのよ。聖書の通りにね」
「聖書…。ゼラール教の聖書?」
「無論よ」
「だっ…だけどプレゼント、くれるん…だよね?」
「そうよ。中にプレゼントが入っているわ」
「…うーん、なんかイヤだけど…。でも今夜が楽しみだなあ」
「今夜?」
「今夜…今夜じゃないの?」
「鉄球が来るのは26日の夜よ」
「遅いよ!!! 26日にクラスのみんなとプレゼントの話できないじゃん!!!!」
「仕方がないじゃない、ゼラール教はそうなのよ」
「そんなのわかんないよ!!!! ボクだけサンタさん来なくて、しかも26日の夜に…」
「鉄球が来るぞマチヒコ」
「お父さんは黙っててよ!!!」
「黙っててとはなんだ!!!! これはすべて封じられた黙示録の…」
「あなた!」
「あっ、す、すまん…。黙示録の話は15歳になってからだったな…」
「とにかくマチヒコ、我慢なさい。それが我々の運命なのです」
「ひっく… うっく…」
「泣かないでマチヒコ。では代わりに、お母さんからプレゼントをあげましょう」
「…えっ、いいの?」
「実はね、お母さんこっそり用意していたの。マチヒコがさびしがると思ってね」
「おい、お母さん…いいのか?」
「いいのよ。この子が15歳になったときの運命を思えば…」
「…どうしたの?泣いてるの?お母さん」
「ううん、泣いてなんかいないわよ。…さあ、どうぞ」
「! うわー、大きい箱!…ねえ、何が入ってるの?」
「ゼラール像よ」
「いらないやこんなのーーーーーーーー!!!!!!」
(バターンたったったったっ)
「ま、待ちなさいマチヒコー!!!!」
「…マチヒコ、今は泣きなさい。しかし、きっと…、いつか…。」
ふと思ったんですよ。日本はクリスマス一色じゃないですか。
だけど、多くの日本人と、キリスト教以外の人は、
やっぱり普通の休日としてなんでもなく過ごしてるんだよな…。
なんて、ごく当たり前のことを考えてたらこうなりました。
手ごろな大きさの鉄球が深夜いきなり投げ込まれるイベントってのが
変にリアルでいいですね。
あーあ、もう年末よね。はやいよね。
コント書いてる場合じゃないよ…。
あとゼラール教ってなんなんだろう…。