鉄腕アトム

この名前聞いて「何それ?」っていう人は日本人の中でも少ない方でしょう。

手塚治虫先生の超有名マンガ「鉄腕アトム」。

それが満を持してゲーム化ですよ。ええ。

しかし。

このゲームの製作者さんはアトムのことを何にもわかって無いのです。

私もあんまりわかってませんが(だって実際知らないもん)、

それ以上に何か間違ってるのです。このゲーム。

さて、

ゲーム自体は普通のアクションゲーム…というより、

パズルや謎解き要素が多くて、ただのアクションじゃない所に好感がもてます。

ファミコンにしてはやるなあって。

さらに言うと当時としてはグラフィックもキレイで、サウンドも良い味だしてて…と、

ココまで見ると「なんださりげに良作じゃん」と思うでしょう。

そうです。

良作なんです。

難易度こそかなり高いものの、結構ていねいな作りでステキです。

で。

なにがわかってないのかというと、

アトム自身です。

アトム自身が貧弱過ぎるのです。

本当に不安になるほどアトムが貧弱で、

そのせいでこのゲームの難易度を2倍にも3倍にも膨れ上がらせているのです。

…それではどう貧弱なのかを説明しましょう。

ザコ敵が弾を撃って、それに当たったとするじゃないですか。

その途端。

首と手と足がもげます。
 
もー!!!!
 
モゲゲゲモゲモゲモゲゲ!!!!!

マジでバラバラになります。

画面が暗転します。

生首がバウンドします。

今までロボだったのがその場で産廃になります。

…すると、

どこからかあの「お茶の水博士」があの体形にもかかわらず高速でやってきて、

その場で産廃を復活させます。

お茶の水の技術力に乾杯。

するとアトムはまた何事も無かったかのように動きはじめます。

…いいのかそういうことで。

つーかよくよく考えてみるとアトムの原動力はウランなワケだから、

バラバラになった時点でそこらがチェルノブイリってる事は確実なわけです。

あぶねえよ。素で。

そんな危険分子に容赦なく弾を撃つ敵もスゴイですが。

…さて、ココで普通の疑問。

アトム→産廃→お茶の水→アトムという永久ループが出来ちゃうんじゃないのか?

そりゃそうです。

作ってこわしてこわしたい放題(ピープル)だったら

ゲームオーバーにならない←ゲームにならないじゃないですか。

そこで出てくるのが「ウラン」。

アトムはウランが燃料なので、普段はこの値が徐々に減っていきます。

つまり「スーパーマリオ」で言う所の「タイム」ですね。

しかし。

アトムがへヴンに行くとすげえ量のウランがへってしまうのです。

誰かこのポンコツチェルノブイリをどうにかしろとかそういう事じゃなくて、

ここでお茶の水博士が修理する時、

お茶の水博士が蓄えているウランをアトムに分け与えるのです。

ということは。

何回も何回も博士博士呼んでいるとウランの備蓄がなくなり、

アトムを修理する事が出来なくなってしまうわけですね。

…不便だ。

改善せよアトム。

しかし逆にいうと、実はこのゲーム博士を自分から呼ぶ事が出来るため、

ウランに余裕のある時はその都度博士を呼べばタイムアップにならないのです。

おお。

理由はどうあれ、なかなか斬新なアイデアですね。

ということは、ここまでのインプレッションをまとめると…、

キャラゲーでありながら新しい要素をふんだんに盛りこんだ

極めて異色作と言えるのではないでしょうか。

まさに、クソゲーと紙一重のゲーム。

このゲームをクソゲーだと思う方は結構いるようですが

(アトムの貧弱さと難解な謎の為に)、視点を変えると

「なんだお前さりげに色々やってんじゃん」と言う事に気付くでしょう。

ステージクリアの条件もすべて違うといういれこみっぷり。

ただのキャラゲーと侮る事なかれ。

すぐクソゲーと片付ける前に、もう一つの手塚ワールド、

体験して見てはいかがでしょうか。

もっと発見があるかも。ね。

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