あつまれどうぶつの森 第0話

無人島移住プラン。
ぼくはそれまでの生活を捨て、
この魅力的なプランに申し込んだ。

もうすぐ島に着く。
潮風が気持ちいい。

でも、何かを忘れているような……


「破綻……」
「そう」

大柄な動物が周りを囲んでいる。
対面に座る狸。
煙草をふかし、吹き付ける。
何も言えない。
何も言い出せない。

「村の経営は……ゲームじゃない」

煙草をカーペットに落とし、踏みつける。
メンソールに混じる、床の焦げた匂い。
窓には月明かり。
今日はひときわ、静けさが身にしみる。

村民はもちろん、
しずえさんも、数年前に姿を消した。
放置された村の状況に耐えられなくなったのだ。

「本当なら、だなも、なんて言いたい所だが……」

ポケットから小さなケースを出す。

「そうも言ってられないんでね」

ケースをおもむろに開ける。
中には小さなカプセル。

「今からキミは我々のものだ。村を飛び出し、無人島で働いてもらう」

動物達がおもむろに背後に回る。
腕を思いっきり持ち上げられ、羽交い締めにされる。
一匹が、私の頬をガキッと抑える。
抵抗しても逃げられない。口が自然と開く。

薄笑いを浮かべる狸によって、
カプセルが、口の中に入れられる。
涙がこぼれる。
恐怖で全身が震える。
後悔の念が押し寄せる。
でももう、どうにもならない。

「生まれ変わるんだ……。働くために生きる者、いや、機械として」

カプセルが、喉を通る。

脳が焼けるように熱い。
汗が止まらない。
視界がブラックアウトする。
さまざまな思い出が闇の中に吸い込まれていく。
言いようのない浮遊感。
上も下もわからない。
何も聞こえない。
キモチイイ。

私は…


「無人島へ!ようこそだなもー!」

これからぼくの、新たな生活が始まる。
とっても楽しみだ。
ステキな島にするぞ!


これが、TYPが極秘に入手した、あつまれどうぶつの森第0話。
3月20日、労働開始。

PCエンジンmini私的みどころ後編

後編です。ターボグラフィックス16収録作品のみどころ。
前編はこちら。
前編と被ってるタイトルは特に書いてません。

つかアレね、
ターボグラフィックス16でしか発売されてないゲームは
収録されてないのね。
…そもそもそんなタイトルってあるの?知らない…。まあいいか。

なんとなく、エムツーさんの思惑とコナミの思惑が
透けて見えるラインナップです(笑)。


・ALIENCRUSH
あそんだこと無いなあ…。サイケなピンボールですね。
ピンボールって、あんまちゃんと遊んだ記憶がない…。
ちょっとやって、反応をたのしむような。
本気でやったら奥が深いんでしょうけども。

・VICTORY RUN
何気にヨーロッパが舞台のレースゲーム。
でも印象ない…。パーツ買うんですよね。いろいろ。
一応のレース枠っていうカンジ。

・BLAZING LAZERS(ガンヘッド)
ガンヘッドの権利外したぜタイトル。キャラバンシューティング。
自分でもよくわからないんですけど
このタイトル聞くとエアロブラスターズが頭に浮かんでくる…。
なんで…?

・R-TYPE
国内版はIとIIの2本で1つのソフトになっていて、
パスワードで連携してたんですが海外版はちゃんと1本にまとまっているそうで。
これはPCエンジンの力量を示したすごいシューティングすねー。
出た時めちゃくちゃ美麗で驚きました。横浜の高島屋で見ました。

・MOTOROADER
対戦レースゲーム。
てかなんでモトローダー2じゃないの…?????
どうして…???
っていうくらいモトローダー2のほうがいいです。
モトローダー2、出てくるお姉さんがなんかきわどいからかなあ。

・POWERGOLF
スポーツ枠。PCエンジンのスポーツゲームには
みんなパワーってついてました。
いや、なぜかは知らないけど…。特筆点特にないです。
パワーシリーズは野球が気合入ってた記憶…。
スポーツ枠ならファイナルマッチテニスがよかったなあ。
それかもう、振り切ってモンスタープロレス…。

・NINJA SPIRIT(最後の忍道)
名作。浮遊感とか敵バサバサ斬るカンジとか。
分身を操るテクニックとかねー。シブい面白さです。
ゲームセンターCXの課長のプレイを見てから遊ぶと、
課長のスゴさがわかります。

・JJ&JEFF(カトちゃんケンちゃん)
カトケンの権利外したぜタイトル。王道アクション。
これ、もんのっすごいテンポいいし面白いし、
純粋にアクションとして高水準です。曲も最高!ぜひ遊んでほしい。
海外版になって、だいじょうぶだぁ太鼓(無敵イベント)がどうなってるか
はやく確認したい(笑)。

・SPACE HARRIER
絶対エムツーのセガ好きな人がブチこんだんだと思う。
絶対SEGA AGES版と比べる用だろこれ…。
そんな、PCエンジンでスペハリやりたいですか…?
だったらスーパークソゲーの神武伝承入れてほしい。逆に。

・CHEW-MAN-FU(ビーボール)
これねー、パズル…かなあ?パズル…うーん。
固定画面アクションていうほうがしっくりくるかなあ。
ボールを押して台座に置く。ボールを蹴って敵を倒す。
やや面白いゲーム(笑)。

・PSYCHOSIS(パラノイア)
未見の人は絶対やってほしい。ホント頭おかしい!
個人的には名作。オプションの配置が重要なシューティング。
能面が出てくるところでいっつもやられる…。
あ、能面出てきます。でもシューティングです。

・BONK’S REVENGE(PC原人2)
1がヒットしたせいか結構2はパワーアップしてます。
PC美人はとても美人。微弱なプレミアついてるソフト。

・PARASOL STAR
超名作!バブルボブル、レインボーアイランド、そしてパラソルスターですね。
パラソルを使って敵をやっつけたり防いだりする固定画面アクション。
キャラかわいい!難易度高い!ステージの曲ずっと聞いてられる!
隠しフィーチャーも盛りだくさんです。遊びきれない。

・CADASH
なぜ英語版…。セリフどうすんの…。
結構クセありますが面白いです。横スクアクションRPG。

・NEW ADVENTURE ISLAND(高橋名人の新冒険島)
高橋名人は日本人だと思うんですけどなぜ英語版をわざわざ…。
高橋名人の権利関係?? 高橋名人の権利ってなんだよ(笑)!
横スクのややスピードアクション。

・AIR ZONK(PC電人)
PC原人のスピンオフ的作品。シューティング。
弾バリバリ打ててなかなかに爽快。
でもどうせならCD版のロカビリー天国にしようよ…。
ロカビリー天国、曲ホントいいから…。

・SOLDIER BLADE
全キャラバンシューティングで一番スキ。もうめちゃくちゃスキ。
武器がカッコイイ。演出がカッコイイ。曲がカッコイイ。
気を抜くとやられる、ほどよく難しい難易度。どれをとっても完璧。
絶対遊んでほしい! I’ll be BACK(シュウゥーーイィイーーーーン)!!!

・LORDS OF THUNDER(ウィンズオブサンダー)
名作。とにかくやたらとカッコいい横シューティング。
曲が全編メタル。ぐりぐり動く敵。アイテムわんさか。
90年代的なキャラデザもすげーいいっす!
ショップ店員さんの変なとこ露出してる服は必見。

・BOMBERMAN93
93は、画面構成がちょっと古めの印象を受けますが
ルールがシンプルですね。こっちの方がいいって人もいるかも。
曲いいですよ。ずっと口ずさんでいたい。


なんか、CDタイトルもっともっとあっていいと思うんですけども…。
うーん。
主要な名作は入ってると思います。
シューティングばっかりだなあ!でもしょうがないよね!
実際シューティングばっかりだからさ!

でもやっぱ、PCエンジンは元祖メディアミックスのハードなので
版権ソフトがすごかったし、
あとサードパーティのソフトもイカれたのが多かったので
もうちょっと攻めてほしかったなーと思います。

メガドラミニは、
あれひとつでもうメガドライバーを名乗れると思うんですよね。
でもこっちは、あと一歩届かない。
少なくともエルフのゲームは一本くらい入るんじゃない(笑)。
あと後期のRPGが全然ないので、もやもやっとします。
リンダとか、エメドラとか、風ザナとか、聖夜物語とか。

もうちょっと時代を感じられたら…。でもまあ、仕方ないかもね。
気になる方は、ゼヒ。

PCエンジンmini私的みどころ前編

PCエンジンminiが3月に出るという事で
予約してあるんですけども、どうも盛り上がってない気がしてます。

ていうか最近のコナミの心証が最悪なんだよね。
もうなんか…かつての有名クリエイターはすっかり去ってしまい、
過去のキャラ、過去のBGMを使ったコンテンツばっかり出てきて、
なんかホント…というところにPCエンジンminiが発表され。

でまた、発表されたタイミングってPSクラシックが出て
売り方、クオリティすべてがイマイチだねとか言われてたころで。
メガドラミニも近いところだったけど、
あっちは早々に作りこみとかいろいろ情報発信あったので
株がバスバスあがっていって、
なんか情報ないPCエンジンminiはPSクラシックみたいに
なるんじゃねーの?みたいな。なんかそういう。

でも今きちんと情報を整理すると、
職人集団エムツーさんが移植することになり、天外2も入ることになり、
なんか良さそうな。雰囲気になってます。

つーことで、PCエンジンminiの私的な見どころや雑感を。
まとめてみました。

ターボグラフィックスのタイトルは後日…。


●外観

本体にもコントローラにもNECのロゴが入ってない。-5兆点。
なんでロゴが入ってねーんだよ!!!!!
大竹まことに説教してもらいたい。

●全体的に

元々のPCエンジンは発色の加減とか、音源の独特さとか、
メガドラとはまた違う「和」っぽい個性を持ってて、不思議な魅力にあふれてます。
あとCDね。CDすごい。メディアミックスのはしりですね。

タイトルは当時からシューティングが圧倒的に多いイメージ。
mini収録タイトルもそんなカンジが伝わってきます。

それと、権利関係ややこしそうな名作を
ターボグラフィックス16タイトルとして収録することで
うまくやっつけてるのすごくスキ(笑)。
カトケンとか、絶対カトケンであることより
あのテンポのいいアクションを移植することの方が重要だもの。

●ソフト(公式サイト順)

・THE功夫
いわゆるローンチ。当サイトではおなじみ。
強烈なスパルタンX。なんだかんだで遊びやすく、程よく難しい。
初めて見たのは横浜の高島屋(笑)。

・邪聖剣ネクロマンサー
気持ちの悪いRPG(テイルズ風に言う所の)。家あるけどそんなやってない。
とにかく気持ち悪くて少年時代のオレには無理だった。
何気にクトゥルフ(だったはず)。パスワード不要になるのでいけるかも。

・ギャラガ88
スペースインベーダー系シューティング。
なんかわからないけどすごくスキ。説明できない。
隠しフィーチャーが多く、だらだらと遊んでしまう。
結構ムズい。敵のセンスが独特。花火が美しい…。

・ファンタジーゾーン
これが入ってるのはエムツーさんが移植担当に
なったからだと勝手に思っている。
他機種版と比べよう!それだけ!かな。
これ入れるなら、はにいいんざすかい入れようよ…。

・ドラゴンスピリット
名作。いや、でも個人的にはドラゴンセイバーを入れてほしかった(笑)。
曲がいいんですよセイバー。ドラスピももちろんいいんだけどね。
ファンタジーなツインビー、みたいなゲーム。
パワーアップで首が増える!でもなんか攻撃範囲狭い!

・あっぱれ!ゲートボール
唯一無二のゲートボールゲーム。絵面が地味だけど勝負は過酷。
敵のボールをガツガツ場外へ飛ばせ!

・ネクタリス
名作。きれーーーにまとまった大戦略。
なんか戦車とか消しゴムみたいでかわいい。
ファミコンウォーズとかよりもシンプル。

・ダンジョンエクスプローラー
名作。アトラス制作。曲がすげえ特徴的。メガテンっぽさもある。
ガントレットみたいな全方位シューティング。そんなRPGっぽくない。

・ニュートピア/ニュートピア2
まんまゼルダ。家にあるけどほとんどやってない。想像がつくから。
どことなく、シャイニングウィズダムを思い出す。サターンの。

・PC原人
任天堂のマリオ、セガのソニック、NECのPC原人。
頭突きが独特で面白い。
死んだ時のおだやかさたるや…。

・イース
名作。今遊ぶとあの体当たりアクションは
なんて荒っぽいのだろうと思う(笑)。
海外版も収録されてるらしいけど違いがあるのかな…。

海外版入れるんだったら風ザナとか…。

・源平討魔伝
名作。難しい。世界観が秀逸。京都見飽きた。
個人的にはPCエンジンだけで出ている続編「巻ノニ」も
入れてほしかった…。歯ごたえありありです。

・スーパーダライアス
曲がいい(CDだったから)。
あとは…あんまオレには違いがわからない…。
えーこれ入れるならキアイダンOO(ダブルオー)にしない…?
しないか…。

・スプラッターハウス
当時家庭用に移植されたのはPCエンジンだけかな。
なぜか2作目、3作目がメガドラっていう。
グロテスク!気持ち悪い!結構な覚えゲー。後半面のアレは語り草。

・スーパースターソルジャー
名作。曲がすげーいい。ただ難しい!
武器が目の覚めるような色遣いで、インパクト大。
全体的にセンスがいいです。青の武器が勢い良くてスキ。

・大魔界村
スーパーグラフィックス専用。
メガドラミニとぜひとも比べたい。
これ当時買った人どれくらいいるんだろう…。

・ワルキューレの伝説
名作。出た当時はクリアできなかった。
ファミコン版とこの作品、当時結びつかなかったなあ…。

・オルディネス
スーパーグラフィックス専用。
内容まったく知らない。たのしみ。

・精霊戦士スプリガン/スプリガンmk2
遊んだことないけど雑誌記事見て
これアレスタじゃないの?って思った記憶だけある。たのしみ。

・グラディウス
言わずと知れた名作。オリジナルステージが入ってます!
あとPCエンジン音源が結構マッチしてて、なんかカチッとしてる。
Wiiのグラディウスリバースを思い出す…。

・スーパー桃太郎電鉄2
キングボンビー初登場?かな?
後発いっぱいあるけど必要な要素はもうこの時点で
全部そろってると思う。ボードゲームの金字塔。

・忍者龍剣伝
えっなんでこれ選ばれたの…?ファミコンの比べたい人向け?
これ入れるなら和モノつながりで桃伝ターボか桃伝2入れようよ…。
タボグラの最後の忍道と若干かぶってるし…。

・天外魔境2
最初PCエンジンminiのラインナップに入ってなくて
さすがに頭おかしいだろやっぱ最近のコナミは…と誰もが思ったタイトル。
移植はたぶん、PSP版あたり準拠かなあ。
吹雪御前とか肉助とか。それでも名作。
当時の熱量を想像しながら、絶対一度はやるべきRPG。
大御所とされる声優さんしか出てきません。

・スターパロジャー
名作。個人的にはボンバーマンのボスがスキ。なんか焦る(笑)。
バランスのシーザー、攻めのボンバーマン、守りのPCエンジン。

・SNATCHER
これが入ると聞いてすげえびっくりした。
オレの人生に影響を与えた超名作アドベンチャー。小島監督…。
個人的な見どころは、どういう修正が入るか(笑)!というところ。
ぱっと思い浮かぶのはギブスンとアウターヘヴンと病院の後半とエンディング。
ある意味楽しみ…。

・グラディウスII
きちんと当時に思いを馳せて遊ぶゲーム。
移植度が高いんですけど、完全移植でもなくて、
「ここまでやってくれるなんてすごすぎる!」と言われた
当時ならではという立ち位置のゲームなので。

今こういうソフト出たらドライになんか冷たい事
言われちゃうんだろうなあ。
switchに移植されたwitcher3みたいなカンジか?

・超兄貴
超兄貴に関してはスキすぎてもうアレなので
正常な評価ができません。さすがに愛・超兄貴は入らなかったか…。
葉山宏冶さんのアルバム「男の魂」の歌詞を引用しときます。
“超兄貴とは、ゲイでも、ホモでも、なんでも、ない!
嘲りのない、グローバルな視点でとらえた、男らしさの事だ!”

ということで、いろんな意味での男らしさを体験してください。
想像よりあっさりしたシューティングです。

・悪魔城ドラキュラX
超名作。ステージ1の曲がカッコ良すぎて死ぬ。
ここからさらに超名作であるPS版ドラキュラXへとつながっていきます。
PSP版は音源が腐っててマジギレしましたのでそれだけが心配です。
ドラキュラの声がジャッキーチェン。

・ボンバーマン94
「ぱか」。歴代ボンバーマンでトップクラスにスキ。
名作。曲から絵のセンスからすべて。
対戦専用キャラとか、あれでしか出てこないのもったいないと思う。
気になる方はスパボン3もどうぞ。

・ときめきメモリアル
恋愛シミュレーションの名作。
もう何回か遊んでいるので、
女湯に何か変な光が差し込まれたりするのかどうか気になるってのと
どこでもセーブ機能は学祭に使おうというくらいの気持ち。

・ぱにっくボンバー
なんか、あんまスキじゃないタイトル…。
まあPCエンジンで落ちモノパズルって言ったらこれか。
爆弾モチーフなのに、あんますっきり消えないんですよね。
だったらスターモビールとか入れようよ…。
それか全然関係ないけど姐さん入れようよ…。

・銀河婦警伝説サファイア
超たのしみ。プレミア付きすぎて今買うと8万か9万くらいかな。
雑誌記事は読んでたのうっすら記憶ある。入れてくれたのありがたい…。
美少女+シューティングなんですけど、元がサンダーシリーズ作ってたとこなので
ゴリゴリの内容らしいです。

その開発陣、今マリパ作ってるみたいです。衝撃。


そんなカンジです。

まあでも…やっぱりこちらとしては、
コナミというよりエムツーさんに敬意を表して
買う…カンジですかね。

個人的にはもっとギャルゲ成分高くても
良かったと思うんですけどね。
例えば、エルフ作品とか。
やりたいかどうかというより、
PCエンジンとギャルゲって切っても切り離せないので。
版権関係をうまく外してるのは、ちょっとなんか違うって
思うんですよねー。

まあそれでも、たのしみはたのしみ。
次回はターボグラフィックス16のタイトルでーす。

セイソウのグングニルあとがき

いかがでしたでしょうか(ゴミみたいなブログらしい書き出し)

なんか、久々にちゃんと世界作りたい、みたいな欲求と、
R18作品のねじ曲がった都合のいい世界観が元々スキなので
それきちんとネタに昇華しときたいってのと、
もっと自分の性癖に正直にやらないとなんか後悔するなってのを
全部一緒に混ぜて煮たらこうなりました。

挿絵は随時。描けたら出していきます。

こういう事が出来る個人サイトはホントいいっすね。

ちなみに、通しで読んでみると
これはこの人かなーとか、いろいろ見えてきます。
なるべく楽しめるように…。

やーでも、このネオカナガワの一連の設定はじんわり育てたいです。
久々に畑を耕したカンジしてますので、
しかも自給自足の農園ですので(笑)、
マンドラゴラでもなんでも植えてOKという気持ちで。やっていきたいです。
気持ちが起きれば続きを書くのも、いいですね。

畑耕したなーと思うの、最近では死神飯店の「終界」ですかね。
ぜひ、死神飯店の125話から読んでください(笑)。
すげーーーーーーーあれ大変だったので…。
とりあえず125話はこちらから。

最近は死神飯店の世界の「通貨」を考えたりしてます。
死神飯店、ここまで一切通貨が出てきてないんですよ。
出してこなかったっていうか。
だって、ドラゴンとか小銭持てないじゃないですか(笑)。
そういうの、なんかいろいろ考えるのが楽しい。

てなことをいつも考えているので、
よかったらまたぜひお付き合いください。

ああ、サイトに日記書けるシアワセ。ははは。


ちなみに今回の小説は、最終的な手直し以外はすべてiPadで書きました。
Textforceというdropboxと親和性の高いテキストアプリを使ってます。
めちゃくちゃスキ。
死神飯店のネタもこれでかいてます。

ただiPadは記号関係が弱いすね。
入力もしづらいんですけど、何より環境依存文字かどうかが分かりにくいんですよ。
なのでまあ、最後は修正して、みたいな。
dropboxに保存されるので、ファイルの受け渡しがシームレスで最高す。
ネットつながらなくても、ローカル保存で動くし。

挿絵をちまちま描いてますが、ベースはすべてiPadのclippaintでやってます。
ていうか今もう板タブ(intuos4)よりいいです。
左手デバイス(ショートカットキーを操作するために左手に持つコントローラとか)が
もはやいらないので。
これも保存したあと、dropboxに連携させて受け渡ししてますね。
clipのクラウドでもいいんでしょうけど、dropboxの一元管理がいいです。

うちは超初期の9.7inch iPadProなので、
今売ってるiPadAirがスペック近いかな。あ、それより低いか。
クリエイティブなことしたい!って人には、すげーおすすめですよ。
Textforceは買い切り、Clippaintは月額ですね。
全然払う価値あります。

いいモノが作れるかどうかって、結局やる気の問題だし。
カタチにすぐできるかどうかって、すんげー重要だなと思ったりします。

個人的にはiPadで相当いろいろできることが分かったので、
そろそろ次期iPadがほしいところ。
2019年はiPad停滞の年だったので、期待してます。

セイソウのグングニル #12(END)

「イヴァルディ!」

ニルが駆け寄る。
 
 
「ニル……ごめん…… 私……邪魔になっ……ちゃって…………」
 
 
いつもの気丈さはなく、か細い声で話すイヴァルディ。
とっさに手を握る。冷たい。

「わか……るんだ…… もう…………」

いつも着ているスーツ。血が滲んで滴り落ちている。
 
 
どうしたらいいのかわからない。
超高層。全身に及ぶ傷とアザ。
抱えていいのかすらも。
一度下に戻ったとしても、その間に……。
そんな事になったら一生後悔する。
 
 
「あの……ね…… 聞い…… て…………」
「なっ……なんだ」
 
 
 
「抱いて……ほしい…………」
 
 
 
イヴァルディは、そう訴えた。
眼からは、一筋の涙がこぼれていた。

空中庭園の研究室で知り合った2人。

人体改造に取り組みつづけたイヴァルディ。
ニルはイヴァルディの助手を務める傍らで、
自ら被験者になることを志願し、身体能力を高めていた。

お互いに意識はしていたものの、
研究の妨げになると、関係を持つことはしなかった。

そしてあの日、悲劇は起きた。
実験は失敗。ニルは下層に墜された。

離れ離れになった2人。
再開を果たすも、あくまでビジネスパートナーという体裁を保ち続けた。

それは、ニルの”槍”が完全なる殺人兵器に
なってしまったからだ。

身体を重ねること。それは死を意味する。
そうさせてしまったのは、他でもないイヴァルディだ。
イヴァルディはずっと、どこかで、自分の侵した罪を責めていた。
ニルが必要以上に近づいてこないのも、自分のせいだ。
たまに悪態をついてしまうのは、
ニルのあまりに冷たい態度に対し、
せめてもう少し……恋人のようにしていたい、救われたいという
願望の表れでもあった。

抱きしめたい。
2人とも、そう思っていた。
でも、できない。
満たされているようで、あとひとつ、ピースがはまらない日々。

研究室の頃、どうしてもっと愛し合わなかったのだろう。
お互い、日常のふとした瞬間、後悔が全身を駆け巡る。
嫌なことを思い出す時の、あのぞわっとする感覚。

だから、せめて。
最期くらいは。
 
 
「おね…… がい…………」
 
 
ニルはまだ、ためらっている。
自分が、今まさに最愛の人に止めをさそうとしている。
それはあまりにも、残酷だ。

ニルは泣き崩れた。この現実を受け入れたくない。
しかし、そうこうしているうちに
イヴァルディの身体は少しずつ温かさを失っていく。
 
 
「お…… ね……  ……   い」
 
 
握っていた手が、ゆっくりと下がっていく。
 
 
 
ニルの中で、何かが弾け飛んだ。
 
 
 
槍は、ニルに呼応するように、にぶい光をたたえていた。
もう、どうなってもいい。
ここで抱かなければ、お互い死後まで後悔することになる。
覚悟を決めた。

倒れているイヴァルディの頬に、やさしく口づけをする。

「イヴァルディ…… 逝かせてやる」
そして……

ぎゅっと抱きしめると、ひと想いに、槍で、突いた。
イヴァルディの身体がビクン、と仰反る。

終わった。
また、涙が出てきた。
自分の手で、終わらせたのだ。

「イヴァルディ……」

……と、その時。

槍が、7色の光を出し始めた。
瞬く間に光は膨れ上がり、2人を包んでいく。

光はやがて白くなり、塔の頂上を覆うほどになっていた。

ほんのり温かい。

やがて、イヴァルディのへそのあたりから、
光の球体が浮かび上がってきた。

強い光。

ニルは直感的に理解した。
これは、生命。生命そのもの。
ニルとイヴァルディが本当の意味で結ばれ、
生み出された、生命だ。

生命は2人の周りを飛び回り、
やがて、すぅっと、イヴァルディの胸のあたりに消えていった。

……少し、呆然とするニル。

次第にイヴァルディの体温が戻っていく。
アザが見る見る消えていく。傷口がぴたりとふさがっていく。
 
 
 
そして、ゆっくりと。
イヴァルディは、目を覚ました。
 
 
 
「……大丈夫か?」
ニルの問いかけに、ゆっくりと答える。

「うん」

ゆっくりと起き上がるイヴァルディ。
「やっと……ひとつになれたね」

急に照れ臭く感じるニル。

「ありがとう」
そういって、ニルに軽くキスをした。
笑顔のニル。ゆっくりと槍を引き抜く。

光がおさまっていく。
辺りには紅白さまざまな液体が飛び散っていた。

「ふふっ、おめでたい感じ」
「帰ろうか」
「うん」

イヴァルディを抱きかかえ、空を舞う。
一路、事務所へ。
 
 
 
 
……その頃。
下層の住民は、空を見上げて、つぶやいた。
 
 
「太陽だ……」
 
 
ニルとイヴァルディを包んだ光は、
まるで太陽のように街を照らした。

誰もが足を止めた。
愛し合う者、いがみ合う者。
生けとし生ける者、すべてが。

テレビ中継を見ながら、ムーンライト満月がはにかむ。
オクラルが、にやにやしながら上空を見つめる。

その時間、間違いなく、
街は平和になった。

 
 
ドーナツを食べながら、オージンが笑う。
「まあ……また明日からまた忙しくなるがな」
そう言って、ニルの家に封書を投函する。

月夜に浮かぶ、2人のシルエット。
彼らの戦いは、これからも、続く。


あー終わった!ありがとう!
ひどい話だったねー!でも終わったよー!

12話くらいでやりくりするのいいですね。
大体書きあがるの2週間くらいですかね。ほぼ土日消費。

ということで…だいぶひどいネタを出しましたので、
今度はちょっとサイトウニガミ向けのやつを作りたいと思います。

まあでも正直、とっかかりはひどいとはいえ、
きっちり世界観作ってやっちゃいましたね…。
サイトのキャラが乗るくらいなので。
これ、もったいないっすねー。何かサイバーパンクでネタやるなら
この世界でやりたいですね。こんな、インフラとか全部考えちゃってさあ。
ネオカナガワって名前も、きちんと世界構築して完結してる作品って
意外と現時点で無いんですね。
なんかの作品のキャラ付けで、ちょこっと出てくる、くらいの。

あとなんだろう、「ビデオ・フォン」とか、「・」をあえて入れたりとかね。
読みにくくならない範囲で。少しレトロ感出したりして。
いろいろ好き放題やりました。めっちゃ楽しかった。

気が向いたら感想ください(笑)。ありがとやんした。
この勢いでTYPを昔のカンジに戻せたらいいな。無理だな

セイソウのグングニル #11

--ない。

イヴァルディの姿が。
 
 
いつも通りの仕事。
いつも通りの結果。
いつも通りの日常。
事務所に戻ってくるまでは。

違うのは、イヴァルディがそこにいないこと。

何かの冗談だと思った。
テーブルの書き置きを見る。戦慄が走る。
 
 
「トネリコまで来い」
 
 
置きっぱなしの端末。非通知の着信。
いてもたってもいられず、外に飛び出すニル。

トネリコ。
街の中心部から、だいぶ離れた位置にある塔。
確か、神話に出てくる樹の名前。
いや、樹の種別だっただろうか。

下層の中で最も高い建築物。
先端部には月の映像を投影する映写機がある。

巨大なアンテナ。
データセンター。
オフィス。ホテル。商業施設。
街中では珍しい、政府の建造物。
賑やかだが、富める者が出入りするため
人通りはまずまずというところか。
裏口には職を求めて多くの人間がたむろしている。

塔の周辺には両手で抱え切れないほど巨大なケーブルが
あちこちに根を張っている。
まるでこの街を侵食しているかのようだ。
塔そのものが宇宙からの侵略者なのだとうそぶく者もいる。

……内部から行くのは危険だ。死人が増えるかもしれない。
外側からケーブルをたどる。

鉄塔の根本に到達する。
空を見上げる。
頂上は薄暗く、目視できない。

「……やるか」

ニルは槍をバネのように丸め、意識を集中しバネを押さえ込んでいく。
「はっ」
声とともに、バネを一気に開放する。
ギュン、という音とともにニルは跳んだ。

まるで気を開放したかのように跳んでいく。
いつもより遠く、高く。
イヴァルディへの想いが、力となって加速される。

あっという間に頂点近くまで上り詰めた。大きな踊り場に出る。
 
 
上のフロアには月の映写機がある。
周りはフェンス。いくつかアンテナがついている。
下は金網。吹き曝しだ。

ふと中央の柱に目をやると、
ぐったりとしたイヴァルディが倒れていた。
血を流している。相当いたぶられたようだ。
 
 
「イヴァルディ!」
 
 
向かおうとしたその瞬間、何かが迫る気配がした。
とっさにのけぞるニル。ヴォン、という音。間髪でかわす。
 
 
「やるじゃん。”槌(ツチ)”をかわしたね」
 
 
黒に近い、紫の髪。まるで蝙蝠の羽のような、短いツインテール。
妖しく光る赤い眼。小さめの体躯。
そして、禍々しくそびえる、巨大な槌。

「……誰だ」

「んん?名前ぇ?」

ニヤッと笑う。ギザギザの歯。
トン、と地面を蹴る。ニルの目前に迫り、高速で槌を振り下ろす。
即座に槍で受ける。

「!?」

重い。まともには受け切れない。
なぎ払い、受け流す。距離を取る。
 
 
「ルキだよ。おにいさん、”それ”、いいね」
 
 
背筋がぞくっとする。
同じ能力を持っている。
いや、それよりも、この雰囲気は…

イヴァルディに近づくルキ。
イヴァルディの頭を撫でる。イヴァルディは無反応だ。
髪を掴み、頬を舐める。
「んふっ。このおねえさんが必要でさ。もらいに来たんだ」

「……渡さない」

「本当は味見したいんだけどね?ママがダメっていうんだ……
だから……おにいさんにしよっかなって」

「絶対に……許さん」

「あれぇ?ザコのくせにそんな事言っちゃっていいの?」

「……」

「ねえ?出来損ないのクソザコに・い・さ・ん?」

遠くから高速で槍を突く。
ルキは真正面から槌で槍を弾く。
ガイン、という音が辺りに響く。
「ぐっ」
全身に衝撃が走る。まずい。体勢が崩れる。

「ざぁんねん」

足元を掻くように槌を叩きつけ、反動で距離を詰めてくる。
速い。
そのまま槌を横から振る。
受け身をとりつつ、槍を引き戻し防御する。
かろうじて身体への直撃は免れたものの、
ルキの攻撃は重く、勢い良く吹っ飛ばされてしまった。

金網の軽い音。身体が少し痺れている。
ゆっくり歩いてくるルキ。

「ねえねえ、こんな小さなガキに逝かされちゃうなんて、恥ずかしくない?」

けらけらと嘲笑う。

「ざーこ。ざこザコ!」
まるで子供のようにはやし立てる。
 
 
「いや……まだだ」
 
 
ゆっくりと立ち上がるニル。どこか落ち着いた様子だ。
空中庭園から墜とされて以来、これまであらゆる敵と戦い、
幾度となく逝かせてきた。

経験人数なら誰にも負けない。
少し槍を縮め、構える。そして、
 
 
「スペル・マシンガン」
 
 
槍から大量のショットを飛ばした。

「なっ……!」

ドババババッ、とルキの足元と槌を白く染め上げていく。
絡みついて離れない液体。倒れることも許されない。
足下の金網からもったりとした滴が垂れ落ちる。

「貴様の動きは封じた。……これで終わりだ」

「卑怯だぞ!こんなマネして! ザコだからこんなやり方しか……」
「ザコでもなんでもいい。生きるか逝くか、それがすべてだ」

槍を構える。
狙いは一点。
勢い良く、槍を放つ。
ヒュバッ、という風切り音。
しかし。

「じゃあ……」
少し腰を落とし、槍を正面からとらえるルキ。
 
 
「お前が逝けっ」
「なっ!?」
 
 
思わず声をあげた。
ルキは槌のパワーで液体を引きちぎるとともに、
向かってきた槍に対し、槌でアッパーをおみまいしたのである。

ドカッ、と上のフロアに叩きつけられる槍。
どさりと落ちたそれは、まるで意識を失った龍のようであった。
動かない。力が入らない。

槍を見下すルキ。
脚で踏みつけ、ツバを吐く。

「ぐあっ」
「ちょっとびっくりしたかなあ~。でも……」

ゆっくりと歩いてくるルキ。
激痛で膝をついたニルを覗き込む。

「やっぱりダメダメのクソザコ生物だったねぇ~!!!!」
槌を掲げ、高笑いするルキ。

身体は動くが、槍の先はぴくりともしない。果てている。
自分はどうなってもいい。
でも、イヴァルディ。イヴァルディだけは助けたい。
必死に考えをまとめようとするニル。

「……そうだな」
「は?」

体勢を変え、後ろに手をつき、
座り直すニル。

「確かに……貴様には敵わなかった。完敗だ」
「?? なにを言って……」

「最後に頼みを、聞いてほしい」

何か、イヤな予感がする。
そう感じたルキだった。しかし、遅すぎた。
「お前、何を--」

次の瞬間。ゆっくり動かしていた槍の柄の部分が、
ルキの足をとらえた。
パァンという乾いた音とともに、
ルキを転ばせたのだ。

「うわっ」

刹那。
ニルは走った。
そして、腫れ上がった槍の先を抱える。
まるで消火ホースを構えるように。
 
 
「てっ……めええええ!!!!」
 
 
ルキが襲いかかる。
呼吸を整えるニル。

「これで終わりだああああああッッ!!!!」

槌を振り上げる。
 
 
「かかったな」
 
 
一番スピードの乗っていない瞬間。
槌を振り上げて、頂点に達した瞬間。
そこを目掛けてショットを放った。

「んあっ!?」

槌は天井にぴたりと張り付いてしまった。
その瞬間を、ニルは見逃さない。

外そうと力を入れているルキの背後につく。
しかし、足が少し宙に浮いているせいで、うまく力が入らない。

「……っ!」

ルキは生唾を飲み込んだ。何か強烈におぞましいものを感じた。
腫れ上がった槍の先端は、目を覆うばかりの大きさであった。

「これは、わからせないといけないな」

抱えた槍は、動かせるまで回復していた。
「まっ……まって」

「貴様には……逝ってもらう」

「ちっ…違うのっ!本当に!本気でそういうんじゃないから!
こう見えて結構いいトシだしぃ!わかってるから!わからせるとかそういう」

ルキの首のあたりを、槍でコンコンとノックする。
血の気がひく。
首に腕をかけ、締め上げる。
「ぐっ……ごっ……ごめんなしゃ」

ドチュンッッ

そのまま全身の体重をかけ、果実をもぐ様に、ルキを槍で貫いた。
大きく痙攣し、一瞬で白目を向く。
完全に意識は切れているが、さらに続ける。

「スペル・マキシマム」

ゆっくりと、大量の液体を注ぎ込む。
水圧ロケットと同様の原理が作動する。
体がみしみしと音を立てる。
首に腕をかけてなお、口からごぼごぼごぼっ、と液体が流れる。
何か言っているようにも聞こえるが、もはやわからない。

ぱっ、と腕を離すやいなや、水圧でそのままルキは天高く、天高く、
だらしないポーズで飛んでいった。

……イヴァルディのもとへ駆け寄る。
かろうじて息はしていた。

しかし、彼女が事切れるまで、
一刻の猶予もなかった。
(つづく)


つづきます。

わからせるっていうことを、真剣に書きました(真剣に書かれても)。

次回、最終回です。
イヴァルディの運命やいかに!

なんか、今更ですけど
種付けおじさんは爆散した破片がずるずると集まって
そろそろ新たなる種付けおじさんとして復帰してそう。
きもちわり。

セイソウのグングニル #10

ここネオカナガワの主流な肉料理はチキンだ。
安く、環境にも強い。エサも水と廃棄食料で良い。

まるでカプセルホテルのようなケージに
ひよこの状態で放り込まれる。
中には前時代の穏やかな牧場風景が投影され、
動くと足元のランナーが動作し、風景と連動する。
エサも自動化されており、
定時になるとどこかの残飯がケージに投げ込まれる。
衛生面はともかく、エコであることは間違いない。

残飯は選別されていないため、チキンの育ち方はまちまちだ。
適度に運動し、よく肥えたチキンは高級店に運ばれる。
やせこけたチキンは、ぽきっと首を折られ別のチキンのエサになる。
今日も街の人々は、チキンを享受する。

「ハラキリチキン」は、ネオカナガワでも人気の焼き鳥屋だ。
ニンニクフレーバーの効いた、香ばしいタレ。ジューシーな肉。
バイオ・キャベツも食べられる。ストロングな酒も飲める。
しかも安くてうまい。庶民の楽園だ。
 
 
それだけ人気がゆえに、情報が飛び交う場でもある。
強い酒が入れば、口が滑るのも無理はない。
 
 
「イラッシャイマセ」
 
 
ウェイターのポーパ。ロボットだ。
オフホワイトを基調とした身体。
ボディラインはスマートで、つるっとしている。
耳のところに大きくて無骨なアンテナがあり、関節も露出している。
口も無く、話すときに目が光る。いかにも工業製品だと見て取れる。

実際ポーパは大量生産されたウェイターロボットのひとりだ。
街中で、似た素体は散見される。
しかし彼女は違った。
 
 
自我を持っているのだ。
 
 
ハラキリチキンで、閉店後に一度漏電事故があった。
濡れたフロアを伝い、ロボットたちに電撃が走る。
他の数体は見事に黒煙を上げて故障したが、
ポーパは辛うじて無事だった。

その日から、おかしくなった。

客に殴られたとき、不快な気持ちになった。
ありがとうと言われたとき、うれしくなった。
美しいものを、美しいと思うようになった。
自我の芽生え。それは価値観の芽生え。

必死に自分を押し殺そうとした。
でなければ、故障とみなされ廃棄されてしまう。
しかし、このままでは。

バレる事は時間の問題だ。
なぜ自我が目覚めてしまったのか。
だんだん、心がスレていくのがわかる。
言葉遣いが、荒くなる時がある。
「イラッシャイマセ」が、言えない時がある。
自分の境遇を呪うことすらあった。

そんなある日。
もうすぐ自分の契約が、終了する時期である事を知った。

ポーパは、自立することにした。

自分のような工業製品は、愛玩目的のヒューマノイドと違い
人間たちと、真の意味で生きていく事はできない。
自分は、”物”だ。
街の郊外まで無事には出られない。見つかれば、売られてしまう。
移動のための金が必要だ。安全に移動するための、資金。

ポーパはウェイターとして働く傍ら、
客から得たあらゆる情報を売って稼ぐことにした。
受け渡しはネット上で。店の回線を使って送受信を繰り返した。

男女の秘密。企業の秘密。政府の秘密。
自身の秘密を隠しながら、他人の秘密をあばく。
アンテナから感じる背徳感。高揚感。
この感情をどう処理したらいいかわからない。
ひんやりとして、硬い体。
誰もいない店内で、じたんだを踏んだ。

ほどなくしてポーパは、巨額を得た。

ネットで夜逃げ専門の輸送屋を探す。あっさり見つかる。
自分を荷物として運んでもらう算段だ。
街の外で、スクラップと共に自由な暮らしを夢見る。
希望に満たされるポーパ。

待ち合わせは午前中。月もなく、薄暗い。
店にトラックを直付けさせた。
そっと裏口を出る。

トラックは走る。
走る。
走る。
走る。

新しい自分に会いにいく。
そんな気持ちでいた。
いつか、ちゃんとした自分の体を持ちたい。
そうしたら、この体が、熱を帯びるようになるのだろうか。
頭の中を想いが駆け巡る。

しかし。

荷物の中にまぎれていたのは、ポーパだけではなかった。

清掃屋(スイーパー)だ。

大きな獲物をぶら下げたそいつは、
ゆっくり立ち上がり、静かにこちらを見ていた。

震えるポーパ。
全身の力が抜けていく。
 
 
「お、お前は……まさか」
 
 
「グングニル」
 
 
噂は聞いていた。
しかし本当に実在していたとは。
どんな相手でも、静かに、その槍で仕留める殺しの天才。

「な……なあ。にいちゃん。さあ。
ははっ。本当に、その……グングニルってことは、ないだろ?」
 
 
「貴様には……逝ってもらう」
 
 
秒で理解した。
死ぬ。

以前の自分は死ぬなんて事を理解できなかったはずだ。
感情を持つ代償。これほど怖いことが、これから起きるなんて。

「いやだぁ!!!!」
トラックのコンテナで、なりふり構わず、そう叫ぶ。
そう叫ぶしかなかった。

「皆そう言って懇願する。しかし貴様はオレのターゲットだ」

ゆらぁ、と槍が動く。

「待て!待てよ!生きたいんだよ!生きたいんだって!見ろよこのナリをさあ!
生まれちゃ捨てられるロボットだよ!なあ!お前捨てられた事ねーだろ!?」

叫ぶ間にも一歩、また一歩と距離を詰められる。

「なあぁ!頼むよ!こんな体になりたくてなったわけじゃないんだ!
でもさあ! 必死で生きてさあ!お前、お前には、わかんねぇかもしんねえけどさあ!
情報売ったのは悪かったよ!とにかく!チャンスを!チャンスをくれよォ!!!」

目の前に立たれた。
ぴんと張った槍。

「だのむよぉ……。 ゆるじてくれよぉ…………」

手を伸ばすポーパ。
 
 
 
静かに、槍は、
ポーパの体を貫いた。
 
 
 
安いプラスチックの外装はいとも簡単に割れた。
バキバキバキッという、小さく乾いた音。
基盤を、関節を、破壊していく。
下から上まで、一瞬だった。

最後、脳のあたりでパチッという音がした。
まもなく、ギュゥンという停止音と共に、ポーパはその役目を終えた。

ひとつ、ポーパから出たゴミを拾い上げるニル。
どこか想う所があり、ポケットに忍ばせる。
 
 
 
 
……帰り道。
古びたヒューマノイドが捨てられていた。

ロボットと違い、ヒューマノイドは人間と寸分違わぬ見た目をしている。
それを、どう捉えるか。
じっと眺める。
捨てられたヒューマノイドは、死体そのものだ。

ポーパの言葉が頭をよぎる。
ポケットのゴミは、いつのまにか無くなっていた。

少し、疲れた。
そんな事を感じる、ニルだった。


イメージ的には、ド腐れファイアボール。ディズニーの。

つかもうとっくに伝わってると思うんですけど、
ターゲットとか、出てくる相手は性癖爆発っすね。
自分でも、なかなかマイナー路線だと思います…。

いや、種付けおじさんは。

あとなんかやっぱり、マジメな話を書きがち。
でもいっつも言ってますけど、アレを振り回してますからね。
そこはちゃんと。ちゃんとね。何がちゃんとだよ。
ギャップを楽しんでください。これはそういう小説です。

あと2話ですねー。クライマックス!
2話は前後編になります。よろしくでーす。

セイソウのグングニル #09

レトロムーン。
あらゆる生物を受け入れるBAR。
内装は濃い目のピンク。少し古いスナックの面影。
酒はまずいが料理には一定の評価がある。
しかし……

「……客、こないわね」

30代中頃、肩出しのドレス、クレーターを模したヘアブローチ。
背はそこそこ高く、若干太め。遠目からでもはっきりわかる、大きな胸。
彼女の名はムーンライト満月。
ネオカナガワの中央部から少し離れたところで
ひっそりとBARを営んでいる。

「なんなのかしら。アタシが何をしたっていうのかしらね」
ボヤく満月。
「ね、セイカちゃん」
単眼。緑色の髪。マゼンダピンクの肌。まるでタコのような手足。
誰がどう見ても、人ならざる者。
人ならざる者が、バーテンダーの格好をしている。
無言でにこにこと笑うセイカ。

「オレは客じゃないのか?」
ニルがそうこぼす。
カウンターで強い酒を少しずつやっている。

「客じゃないわね」
あっさりとそう答える満月。

「そんな酒一杯ちびちびやられたって……あなた、結構稼いでるんじゃないの?」
「まあ……そこそこかな」
「そこそこって……あっわかった。彼女に貢ぎまくってるんでしょ」
「彼女なんていない」
「うそよ」
「本当だ」
「まだ彼女になってないだけ?」
「……」
「……ウソが下手ね」

ふふっ、と笑うと、満月は続ける。
「大事になさいよ」
「大事にしてるさ……でも」
「でも?」
「いや……いい」
「何よ」
「大事に……してるから…………」
 
 
その時だった。
表のドアが開いたと思うやいなや、
何かが投げ込まれた。

「!」

ブシュウゥッ、と煙が上がる。
とっさの機転で、グングニルは床に落ちた”何か”に向かって槍からショットを放つ。
床に覆われるように包まれたそれは
しばらくガスによって餅のように膨れ上がったが、
やがて収束していった。

「これ、な……うわっ!? ゲホッゲホッ、催涙ガス!?」

残香を吸い込んでむせる満月。
ニルが外に出る。遠くに走り去る影。
数発ショットを浴びせたが、ほどなくして消えていく。

「ちょっと、しばらく開けといて」
「いいのか? また……」
「大丈夫よ。たまーにあるの。嫌がらせがね」
 
 
満月の店で働いている従業員は、みなミュータントだ。
ミュータントになった者。ミュータントにされた者。人間になった者。人間にされた者。
人間とミュータントの境界は曖昧であり、定義が難しい。
おのずと、客もミュータントが多い。

しかしミュータントを快く思わないものもいる。
一部の人間は自分たちを純潔な種族と思っており、
ミュータントを一方的に敵視しているのだ。

「古臭いのよ。考え方が」

ため息をつく満月。

「生まれ、喜び、悩んで、死ぬ。何も変わりないわ」

ふと横に目をやる。
セイカが自分の服に着いたシミを気にしている。
どうやら先ほどの催涙弾から出た液体が付着したようだ。
 
 
おもむろに脱ぎ始めるセイカ。

「ちょっ、ちょっと」

満月が止める間もなく、ブラウスのボタンを外し、胸元を広げる。
中には女性の体ではなく、大量の触手がぬらぬらと蠢いていた。
セイカは、頭部以外は触手で構成されているのだ。
空想の火星人がモチーフなのだろう。
彼女はどこからか逃げてきて、このレトロムーンに行き着いた。

仕事はバーテンダーだが、性的なサービスもこなす。
満月はサービスについて、肯定的に捉えている。
本人が楽しそうだからだ。
それに、ひどい事をされたら首を引きちぎればいいと教えてある。

「そんな見せるもんじゃないわよ。向こうで着替えてらっしゃい」

店の奥に促す。セイカはあまり理解していない様子だ。
 
 
「それにしても……はあーあ、くっさい」
「ガスが……まだ残っているな」

「違うわよ。あんたのニオイよ。誰が掃除すんのよアレを」
「……すまない」

「まったく……まあいいわ」
やりとりに堪えきれず笑いをもらす満月。

「とにかく。自分と結ばれるべきじゃない、なんてのは間違ってる。
それはあなたのエゴだから。ちゃんと向き合いなさいよ」
「……わかった。ありがとう。でも」
「傷つけたくないんでしょ。でもそれだけが愛の形ってわけじゃない」
「ありがとう……」

「……吹っ切れてないわね。まあまたいらっしゃいよ」

「お代は」
「いいわよ……もう。ツケとくから。それより」
「なんだ?」
 
 
「……あたしは報酬、払わないわよ」
 
 
「……何のことだ」
「はいはい。ウソが下手ね。気をつけて」

店を出る。少し寒い。
事務所とは違う方向に向かう。
天に向け槍を伸ばす。集中する。
まるで自分自身を探すように、注意深く探る。

気配を辿り、歩き出す。
たどり着いた先はビルの一室。
中から声が聞こえる。
 
 
「なんだよこれ!ぜんっぜん取れねえ!」
自身についた何かに悪戦苦闘しているようだ。
 
 
おもむろにドアを槍でノックする。
「なんだ!」

出てきたのは薄暗いロン毛の女。汚い白衣に身を包んでる。
シノリ=フルイ。
奥には化学兵器のようなものが見える。

「あん……?」
何か、影のようなものを感じる。
ゆっくりと上を向くフルイ。
 
 
腕を組み、槍を構えるニル。
 
 
フルイの表情が変わると同時に、デコピンのごとく
槍の側面を思いっきり顔面に叩きつけた。

ゴッッ

「はぶッ」
体が浮く。重力。風圧。キンとなる耳。
ドォン、という音とともに壁に打ち付けられる。
まず敷金は帰ってこないだろう、というのが見て取れる。
確実に、背骨が数本やられている。

「前戯」

そう言い残して、ニルは去った。
少しは体も暖まったようだ。
そんな事を感じながら、事務所に向かうのだった。


なんであたしの店、こんな襲撃受けなきゃなんないの。
たまの出番だってのに…。

しかもなんか、催涙ガス弾とか、
あいつはじき返すくらいできそうだと思わない?
なんであんな、ねえ。ゴキパオみたいなことして。
あれホント取れないの。独特のニオイだし。
ゴキパオならつかめるのに。最悪よ。最悪!

あ、こんばんは。あたしムーンライト満月。

あのー、メガCDのアイオブザビホルダーやってみた、
みたいな動画撮れてるんだけど、アテレコできずにいます。
ごめんなさいね。
あと題材がシブすぎてごめんなさい。

いつかやるから。いつか…。

セイソウのグングニル #08

(つづき)
実験の最終試験を終えた
サイナス=ヤーナとシーラ=ヤマザキ。

サイナスは自分の姿に、それほど衝撃を受けなかった。
元々どうなってもよい覚悟で臨んでいたため、
あっさりと、全てを受け入れることにした。

シーラに自ら声をかける。
「またがんばろう」

その一言で、シーラは救われた気がした。
強い絆。信頼。
「……うん」

しばらくはサイナスのリハビリが続いた。
日中は二人で数値を取りながら、訓練を積んだ。
まるで、新婚生活のようだった。

一週間後のある日。
リハビリを終え、今後について話をしていると、
1人の女性が、やってきた。

「研究は……一応の成果を出したようだな」

彼はウォックス総監。細身で筋肉質。
サングラスがトレードマークだ。ネオカナガワ警察のトップである。
普段はまず目にかかれない人物だ。緊張が走る。

「キミ達が……なぜこの研究を成し遂げたのか。わかるな」
「……平和のためです」
「よろしい。では、早速だがその力を試してもらう」

スッと、サイナスを手持ちの警棒で指し、
静かに命令する。
 
 
「北部地域の住民を皆殺しにしろ」
 
 
「……!?」

北部は確かに、元々東京だったということもあり
住民同士のいざこざが、他の地域より多い。
しかし……

「全員……ですか?」

「聞こえなかったのか? 全員だ。殺せ」

「……お断りします」

「なんだと?いいから殺せ。すべてだ。警察の人間も殺して構わん」

瞬間。
サイナスの股間からだらりと伸びている”それ”が、
瞬間的に動き、パァン、とウォックス総監をビンタした。

ウォックスのサングラスが吹き飛ぶ。
頬が大きく腫れている。
自分でもよくわからない。
しかし、初めて自分のそれが思い通りになった瞬間だった。

「……お断り、します」
「そっ……そうです!罪なき人々を意味もなく殺すなんて!」

よろけるウォックス。
ぎりっ、と歯を軋り、ゆっくりとサングラスを取る。

「……意味は、ないだと?」
サングラスを胸ポケットにしまう。

「大有りだ。人口は爆発し日に日にスモッグは強くなっていく。
下層が完全なる死の大地になるのも時間の問題だ」

サイナスを睨みつけ、続ける。
「はっきり言おう。下層の連中など生きる価値がない。虫けら同然だ!
不要な連中を間引き、地球を空中庭園のような元の姿に戻す!
そして選ばれし人間だけが住む世界を築く!
これこそが! 争いのない真の平和なのだ! さあ! 平和のために殺してこい!!」

「それは貴様の勝手な言い草だ。そんな事をする権利はない」
 
 
「ならば……、お前はこの場で追放だ!!!」
 
 
ウォックスが警備を呼ぶ。警備はサイナスのあらゆるところを掴み、持ち上げる。
「はっ……はなせっ!」
思うように動かない。力が入らない。
 
 
そのままスモッグに、無情にも投げ捨てられてしまった。
 
 
「うわあああああああああああーーーーーーーーっっっ……」
「サイナス!!!」
沢山の警備に咎められ、何もできないシーラ。

「なあ、シーラよ」
ニヤニヤした顔でウォックスが続ける。

「お前は出来損ないの研究者だ。当然ながら……降格だな。
ここに席だけは残しておいてやろう……。私は慈悲深いからな」
「……っ」
「まあ裸にでもなって? お茶でも運んできたら? 許すかもしれんがな」

ウォックスは高らかに笑い、去って行った。
 
 
 
 
涙が止まらない。
自分がふがいない。

研究は失敗だった。そしてサイナスはおそらく……死んだ。
生きていたとしても、あんな、一生残る”傷”を負わせたのだ。
またがんばろう、なんて。
もうがんばれない。がんばれないじゃないか。

サイナス。サイナスがいない人生なんて、考えられない。

とにかく成功に向けて一生懸命だった。
ずっと一緒だった。
でも、成功しなかった。
成功しなかったどころじゃない。
成功してはいけない研究に足を踏み入れたんだ。
最初から、負けが確定していたんだ。

失敗は成功の元だなんて、ウソだ。
人生には絶対に失敗しちゃいけない時がある。
それを、私は失敗したんだ。

サイナスの人生を、ふいにしたんだ。

動けなかった。
立ち上がることさえ許されない気がした。

……何時間経っただろうか。
重い腰が、ようやく上がった。
フラフラと夜道を歩き、自室に戻る。

サイナスに似せたぬいぐるみ。
じっと見つめる。
今日あった事が容赦なくフラッシュバックする。
今までしたこと、感じたこと、すべてが罪悪感となって襲い掛かる。

夜が明けた。

気がつくと床に伏せていた。
久しぶりに仕事を休んだ。
ぼうっと外を見る。
おもむろにシャワーを浴びる。
おでこが痛む。見慣れない傷。おそらく打ち付けたのだろう。

「……何にもなくなっちゃったな」

鏡に向かい、ぽつりとつぶやく。
その日は、何もせず、ただ、ひたすら寝ていた。

翌日。遅れて出勤した。
上司が慰めの言葉をかけてくれた。
まったく耳に入ってこない。

翌日。遅れて出勤した。
研究はもうできないと悟っている。
ちょっとしたルーチンをこなす。

翌日も、その翌日も。ルーチンをこなす。
代わり映えのしない日々。
 
 
1ヶ月が経った。
 
 
自分が、ただ息をするだけの生物に思えてきた。

そんな時。

一本のビデオ・フォンがかかってきた。
知らない番号。
恐る恐るとってみる。

「ああどうも。オージンと……呼んでもらおうかな。
このビデオ・フォンの……使い方がわからないとね。彼に言われてね。
私も……そういうのは疎いんでね。
長話はしない方がいいかな。後は、わかるね。それじゃ」
 
 
何かを全身が駆け巡った。
怖いほどの高揚感。
 
 
とにかく持ち出せるものを全部、圧縮トランクに入れた。
パーソナル・ワークステーションを使い、番号から場所を特定。
あわててデスクをとびだし、自宅の荷物をまとめた。

会える確証はない。
でも、いても仕方がない。

デパーチャー・ゲートから下層へ。
大量に荷物を持った女。奇怪にもみえた。
なりふり構っていられない。
走った。
ゴロツキが声をかけてきた。躊躇いなく発砲した。
命中したかどうか、もう覚えていない。
 
 
ここだ。
薄汚れたビル。8階。801号室。
 
 
激しい緊張。インターフォンを押す。
まるで、初めて彼氏の家に来るかのような。

思えば研究仲間として常に一緒にいたが、
ずっと恋愛対象にするべきではないと、自制していた。
そうやって考えれば考えるほど緊張する。
 
 
少し間が空いて、
扉から。
 
 
彼が出てきた。
 
 
 
「遅かったな」
 
 
 
「……いいじゃない、別に」
 
 
 
精一杯の返事。いろいろ話した。これまでの事、これからの事。
そして、
これからサイナスが、そしてシーラが、何をするか。何をすべきか。

「名付けた。すべてを貫く、グングニル」
「だっさ」
「……いいだろ」
「じゃあ私は、それを作った……イヴァルディね」
「……いい名前だ」
「ところで……ねえ」
「なんだ」
「グングニルって長ったらしいから、ニルって呼ぶね」
「……」
「はい決定。そのコップ、洗っておくから出して」

失われたと思っていた、希望がそこにはあった。
汚れた空。生暖かい風。
スモッグに映し出された月が、まるで祝福しているようだった。


なんか、ホント、いい話になってくるから怖いなあ…。
あ、せっかくなんでラフ絵あげときます。イメージ。
ニル。

イヴァルディ。と、4話のエビ天。

こいつらだけだとそんなサイバーパンク感なし(笑)。

明日は月曜日すねー。だからってんじゃないですが、
TYPの看板女優が出てきます。おたのしみに。

セイソウのグングニル #07

かつてのニホンは分断された。
まるで、昔のロール・プレイング・ゲームのようだ。
郊外は死の大地となった。
電気も水道もガスも途絶し、
住む者はほとんどいなくなった。
街をつなぐのは、衛星とケーブルのみ。

ネオトーキョーは東京湾の埋め立て地に作られた。
今も旧都市部と新都市部の抗争が続いている。
ネオチバはよりディープなネットの街となった。
脳を直接ネットにつなぎ、ダイブするのがチバ流。
仮想と現実の区別など、この街では意味のないものだ。
ネオサイタマはニンジャ・コスプレの街となった。
独自に発展したカタカナ語は流行語の枠を超え、
言うなれば新たな”方言”となっている。

そして、極厚のスモッグに覆われた街、ネオカナガワ。

ネオカナガワにはウォーケンと呼ばれる政府機関があり、
公共事業を、一手に引き受けている。
ネオカナガワで最も大きな事業者、という見方もできるだろう。

そんな政府の一大プロジェクト。
極秘の、ミュータント実験。
それが、この空中庭園(グラズハイム)にあるビルの一室で、間も無く行われる。

政府は表向き、人体のミュータント化に関与していない。
それは単に、ミュータントを良しとしない
「人はヒトであるべき」という人々が政府の主な支持層だからだ。

しかし実際には、ミュータント技術者をかかえている。
また下層のミュータント技術者は、ほとんどが政府から落ち延びた人々だ。
独自にミュータント技術を開発・改良しており、コミュニティもある。

そのほとんどはファッション用途に使われる。
ツノや肌の染色がいい例だ。
最近は特に眼球の技術躍進が目覚ましい。
オッドアイはもちろん、好きな模様を眼球に浮かび上がらせることができる。
かつてはビデオ・ゲームの中でしか出来なかった
キャラクタークリエイトが、現実のものとなっている。

ミュータント技術は、ペットにも用いられる。
翼の生えたウサギや、カラーひよこなど。
一時はそのペットの肉を食えば
不老不死になれるというデマも流れた。
実際に食したものは漏れなく遺伝子崩壊を起こし、死んでいる。

ミュータント生物をイチから作る者もいるが、
ほとんどの場合、研究費の折り合いがつかず、挫折する。
結局、儲かるファッション産業に手を出すのだ。

……では、どんな研究が政府で行われているのだろうか。
研究者が逃げ出すような、政府の研究。

それは、人体兵器である。

武器を持たずして武器を持つ。
見えざる武器。これほどの恐怖は無い。

……実験は、治安の維持を目的として進められた。
そして、今まさに自らを検体として差し出す、若き青年。

彼の名は、サイナス=ヤーナ。
彼は今、反重力ベッドによって浮いたまま、横たわっている。

「緊張してる?」
そう声をかける女性。シーラ=ヤマザキ。
彼女は政府機関でも指折りのミュータント研究者だ。

「大丈夫」
そうは言いつつも、やはり緊張する。
「顔に出てるわよ?」
シーラは笑顔で指摘する。
そういう自分自身も、緊張している。

「じゃあ、リラックスして……」

今日を迎えるまで、全身に薬品を塗られ、水と点滴のみで69時間を過ごした。
気だるい。少し、筋肉が衰えたのを感じる。

これから大型のタンクに入れられ、遺伝子が書き換えられる。
シーラはサイナスのガウンを、ゆっくりと脱がしていく。
サイナスのすべてが、あらわになる。

シーラの胸元が視界にはいる。
こうも近いと、気になって仕方がない。

サイナスはこれまで、シーラを目一杯サポートしてきた。
彼女のこの実験を成功させる。
この技術が平和を取り戻すと信じて。
それも、この実験でひと段落する。
その時には、……その時には。
想いが昂る。

「では、カプセルへ」

反重力装置によりサイナスはベッドから浮いた。
そのまま、横たわったカプセルに入れられる。
カプセルの蓋が閉まり、とろみのついた透明度の低い水が注ぎこまれる。
少し苦しかったが、肺の中まで満たされるとすぐに慣れた。
カプセルは起き上がり、立った状態で浮かされている。
気持ちがいい。胎内にいるようだ。
シーラの声が遠くなっていく。

「それではこれから……人体強化実験の最終試験を行います」
緊張した面持ちで説明するシーラ。
「全身を強化し、人間の限界を超えた……新たな人類が今、誕生いたします」
見守る政府関係者。

「……がんばってね。サイナス」
小さくつぶやくシーラ。すでにサイナスには聞こえていない。

「では……参ります」

静かに、装置のボタンを押す。
ギュゥインと大きな起動音がこだまする。
カプセルから大きな泡。
そしてだんだん、だんだんと小さな泡がサイナスから放出される。
だんだん、だんだん。
サイナスの意識はもうほとんど無い。
あるのは最後に見た……シーラの姿だけ。

シーラ……
オレは…………

…………

……

あっという間に無数の泡で、
サイナスの姿は見えなくなってしまった。

「……おかしい」

想定外だった。変化時間の長さだ。
変化自体は想定内だが、あまりに長すぎる。
カプセルが揺れ始めた。まずい。

「シェルター配備します!」

一際大きなボタンを押す。
赤と白のストライプが描かれた大きなシェルターが、
両側からカプセルを包み込んだ。
カプセルは中で激しく揺れている。
響くサイレン。怯える政府関係者。

緊急停止させるか?
いや、中途半端に止めれば、彼の命が危ない。
もう少しだ、もう少し--

その時だった。
バキョッ、という音とともに、
ドバァッと上からカプセルの水が大量に噴出した。

「なっ……!」
部屋中に降り注ぐ、養液の雨。
一通り放出が終わると、あたりは静寂に包まれた。

みな座り込んでしまっている。
シーラはゆっくりと立ち上がり、声をかけた。

「サ……サイナス?」

すると。
ゆっくりとシェルターが開き……

中から、彼が姿を現した。

「よかった……サイナス! 無事だっ…… た……」

驚くシーラ。
シーラはサイナスから出ている、何か凶悪なモノを目にした。

……まったく頭の整理がつかない。
明らかにあれは、尻尾では…なかった。

脳内にイメージすることで皮膚が硬くなったり、
爪が伸びたりという能力が身につくはずだった。

つまり、カプセルから出てくるときは、
外見上何の変化もない想定だったのだ。

まさか、サイナスのあの部分そのものが、肥大化して、
しかもそのままだなんて、まったく、考えもしなかった。

不安の中、復帰治療は続いた。
集中治療室の外で見守るしかなかった。

彼が目をさましたのは……、一週間後だった。
(つづく)


二人の過去編ですね。

シェルターのカラーリングだけで、
シェルターが大体どういうカンジかは察していただけるのではないかと思います。
ガッテンしていただけましたでしょうか。
ガッテンガッテン。

やっぱ、ベースがマジメなのがいいすなあ(笑)。
初めての続きモノですね。また明日。