ミンナノタメニ。

力を。

中ではハーゴンの側近たちが待ち構えていた。

だが、そんなのに負けるほどオレたちは弱くない。

アトラス、ベリアル、バズズ。

確かに手強い相手だ。

けれど、

僕たちには誰にも負けない勇気と、希望がある。

僕たちはとてつもなく大きなものを背負っている。

だから。

だから絶対にこんなところで負けるわけにはいかないんだ。

「…ハア、ハア……」

「な、何とか…」

「ここまでこれたわね…」

そこかしこに残る傷をホイミで癒し、いのりのゆびわを握りしめ、

僕らはここまで来た。

ついに。

ハーゴンのいる祭壇に。

「ハーゴン!!!!」

祭壇で祈りを捧げているヤツこそ、大神官ハーゴン。

「…?」

ハーゴンはこちらを振り返る。

恐ろしく凍てつくような目で。

「なんだ貴様ら、私の祈祷の邪魔をしおって…」

「…てめえの首をいただきにきた……。

大神官ハーゴン、てめえも今日で終わりだッ!」

「威勢のいいガキどもだ…。

よかろう、相手になってやる…。」

ものすごい気迫がビリビリ伝わる。

しかし、やるしかない。

やるしかないんだ!

「…これで最後だ。

行くぞ、とらうま、にせもの!!!」

「おお!!!!」
 
「うわああああああああああ!!!!!!」

……

戦いはまもなく終わった。

「ぐ…あ……」

ハーゴンの胸に深々とロトの剣が突き刺さる。

どす黒い血が滴り落ち、次第にハーゴンから力が抜けていく。

誰もが勝利したと思った。

…しかし。

「ふ、ふはははははははははァ!!!!!!」

「な、何がおかしい!!?」

「力をつけたものだな小僧、

よかろう、私の負けは認めよう。

だがな…」

「なっ…、なんだ!!!」

「私はこのままでは死なんぞォ…。

すべてを破滅へと導いてくれる…。」

そういうと、細く鋭い目を見開いて印を結び、叫んだ。
 
「破壊神シドーよ!!!!
 
我の身、今ここに捧げん!!!!
 
さあ、復活するのだ、
 
そして、
 
人間共を、
 
この世界を滅ぼすのだ……!!!!!!」

すると、轟音とともにハーゴンの姿は消え、魂が天へと昇っていく。

その瞬間あたりに暗雲が立ち込め、

一筋の光とともに、そいつは姿を現した。

禍々しいその体は、まさに…

「破壊神」そのものだった。

「我が名は破壊神シドー…!!!

ロトの子孫とやら、貴様らには礼を言うぞ。

ハーゴンの魂によってこの私は復活できたのだからな…。

フフフ……、

ハッハッハッハッハ……」

3人は愕然とした。

「こ、こんなことって…」

「そ、そんな…」

へたれこむとらうまとにせもの。

…しかし。

うそつきだけは別だった。

確かにショックの色は隠せないものの、

なんとか勇気を奮い起こした。

立ち上がり、2人に手を差し伸べる。

「…大丈夫だ。

オレらの力が合わされば、何も怖いもなんてない。

今までだってそうだったろ?

オレがふぬけても、

とらうまに呪いがかかっても、

にせものが犬にされたって、

皆でなんとかしてきたじゃないか。 なあ。」

「あ…」

…その言葉を受け、2人は立ち上がった。

「そうね、最後だもん、やれるだけやってみましょうよ!」

「そうだね、がんばろう!」

そして、ちょっとはにかんで、うそつきが言う。

「…なあ、みんな……」

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと、友達だよな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人は意を決して、立ち向かう。

いつだったか、「希望とかそんなんよくわかんないけど」とか

そんなことを言ったような気がするけど、

今はなんか、わかる気がする。

この戦いが終わったら……