決してタツノコプロのゲームではありません。
タツノコファイトとかそういう類ではありません。
いや、タツノコファイトもかなりアレなんですが、それはさておき。
今回ご紹介するのは「竜の子ファイター」。
オーソドックスなアクションゲームです。
主人公はパラレルワールドを旅して、
なんでも願いがかなう「竜の子」を集めるのが目的です。
ああ、なんて楽しそうなんでしょう。
王道も王道。
この時点では外す要素がありません。
しかし。
このパラレルワールドを構築しているのが…。
そう、
ご存知「宮下あきら」大先生その人なのであります…。
ていうか宮下先生こっちの世界にきちゃダメだろ。
テリトリーが違うだろ。
いいですか宮下先生をご存じない方のために説明しますとですね、
男塾。
以上。
…なんていうんでしょう、あの、男塾のマンガの内容を知らなくても、
男塾ってその単語だけでああ、パラレルワールドに男塾はいらないなってのが
ガンガン伝わってきますね。
おいしい素材に「見た目もっとおいしくなるから」ってニスを塗るようなもんです。
かなり余計な事してくれちゃってます。
…さてゲームを始めましょう。
するといきなり主人公は民家の中に入ります。
そこには宮下閣下ご本人が。
そして「選ばれし戦士よ、よくぞわが宮下ワールドへ」と声高に発言。
「行きたくねえよそんなワールド」ってツッコミがすでにヤボに聞こえるほど
ツッコミ所満載ですね。
でまあ宮下閣下がゲームの概略を語るわけです。
怪物を倒して竜の子を集める勇気があるかと問うて来るわけです。
当然「いいえ」を選びます。すると、
「貴様には喝を入れてやろう!」
言うなり画面が閃光。
宮下閣下の怒りに触れてしまいました。
しかたがないので閣下から武器(棒)を受け取り出発します。
内容は前述の通り横スクロールのオーソドックスなアクション。
先ほどの棒を使って戦います。
が。
そこは宮下ワールド。
ていうか皆さん宮下あきらというと恐らく自動的に男塾の絵が浮かぶと思うんですが、
今回は違います。
宮下あきら先生、デフォルメキャラに挑戦です。
恐らくこのゲーム以外にデフォルメタッチの宮下キャラを見ることは不可能でしょう。
そういう意味では貴重です。このゲーム。
…しかしでるわでるわ、物の怪が。
火の玉とかは別にいいじゃないですか。クモとかもね。
あと1面は中国妖怪ステージらしいので、
仙人みたいな中国人もまあ良しとしましょうよ。
けどな。
将棋のコマを胴体にして、
戦国武将のリアルな顔がくっついてるってキャラは大丈夫なのか。
しかもデフォルトで空中飛ぶし。
…絵的には「不思議の国のアリスのトランプ兵を宮下あきらが描いたら」ってのを
想像していただければ。
怖い。
夢に出る。
そういうのが襲ってくる世界を構築する宮下先生、
やはり並の漫画家ではありません。
…しかし宴はコレでは終わらない。
中ボスを倒すと、いよいよ大ボスとの対戦です。
と、ここで、なんと、
今まで2頭身だった主人公キャラの等身が急激に伸びるではありませんか!!!
本来の宮下キャラに変身です。当然筋肉質です。当然上半身裸です。
そして牛魔王(1面のボス)を
パンチやヌンチャクみたいな武器でボコボコ殴ります。
…宮下あきらは忘れてはいませんでした。
自分のキャラの本当の姿を。
こんなカンジでゲームは展開していきます。
さて、
もう皆さん、このゲームがいかに宮下尽くめか、お分かりになりましたでしょうか。
マンガ家さんが原画をやったりするのは今では珍しい事ではありませんが、
世界やゲームシステム、さらにはご本人まで登場されているってのは
なかなか少ないのではないかと思います。
そういう意味ではかなり画期的なゲームといえるのではないでしょうか。
ただ、
武器である棒のあたり判定が超魔術並に広いとか、
ライフを回復してくれる看護婦の前歯がバッチリ抜けてるとか、
2面で宮下閣下の「オレの連載は読んでいるか」という問いに対して
「いいえ」と答えるなり 「ここはちゃんと答えた方がいいぞ」と素で脅されたりとか、
面の合間合間にゲームにまったく関係ない謎の占い師が出現して
そのたびそのたび「大吉じゃ」だの「大凶じゃ」だの言ったりするのは
正直大問題だと思いますがそれはそれ。それはもう、しょうがない。
とにかくあなたの知らない宮下ワールドがそこにあります。
宮下ワールドは男塾とバラモン一家だけではありません。
このゲームの存在をお忘れなきよう。