第2章

「あー勝った勝った」

「姫様は本当に強いのう」

「一度踏まれてみたいですよね」

「おぬし自分の言ってることがわかっているのか」

「わかっていますとも」

「なるほど、ド変態じゃな」

「何を言うんですか鉄球魔人みたいな顔の分際で」

「ほっとけ」

「今日はモーニングスターはお持ちじゃないんですか」

「うるさいわ。ほれ、2戦目がはじまるぞ」

「大丈夫ですよ、鉄のツメも、薬草も持ってったし」

「まあな、我らが姫さまなら心配ないじゃろう」

「しかし素敵ですよねー姫さまは」

「そうか?」

「あのおてんばじゃ済まされないところが好きです」

「まあ確かに城のカベをブチ破るのは完全におてんばを越えてバーサーカーじゃな」

「素手でいきますからね」

「素手でいくからのう」

「もう魔物と呼んでも差し支えないですよね」

「お前本当に好きなのか」

「もちろんですよ」

「そうか」

「…あっ、もう気がついたら4戦目ですよ」

「あっというまじゃな」

「あーあ、しかし勝ちのわかってる勝負を見るのも退屈ですね」

「なんじゃ、お前姫さまの勇姿を見たいんじゃないのか」

「だって張り合いがないじゃないですか。デスなんとかってやつならまだしも」

「しかしそいつが出たら危険じゃぞ。なんでもこれまでの参加者はすべて…」

「息の根を止められた…と言ってましたね」

「…」

「…」

「ま、まあでも大丈夫じゃろ。なんたって姫さまはあの強さじゃからな」

「あの強さですものね」

「あのスピードで、あの強さじゃからな」

「あのスピードで、生肉を喰らいますしね」

「それじゃ本当に魔物じゃないか!」

「どっちでも同じことです」

「きみとはやっとれんわ」