• 2009年02月登録記事

※昨日までのあらすじ
普通なのはコーヒーだけだった。なんか落ち着いた。



「ありがとう、びっくりするくらいコーヒーは普通だったよ」

「いえいえとんでもございません。
ところであの、今日のおもてなしはいかがだったでしょうか?」

「とりあえずメイドはやめた方がいいな…。土偶喫茶の方がいいと思うよ。
さっきの呼び出しボタンもやめた方がいい。
カウンターに薬を置くのもやめた方がいい。
あとあの、他にも気になるものがあるんだけど…」

「…例えば?」



「まずこのスフィンクスね…。これなんでこんなトコにあるの?」

「それはいわゆる番犬ですね」

「番犬…喫茶店に番犬必要無いよね……」

「なるほど、喫茶店に番犬は必要なし…と。
やばい、ケルベロスmmmmmmm」

「それもやめた方がいいよ」



「あとこのカンバンもどうかと思うよ…」

「そうですか?」

「だってコーヒー漏れちゃってるもん…」

「やっぱり漏れてない方がいいですか?」

「聞くまでもないと思うよ」



「それと細かい話なんだけど、
雰囲気アンティークなのに思いっきりクッキングヒーター入れてるっていう…

「いやーやっぱりIHでしょう」

「うん、気持ちはわかる。いいよねIH。それわかる。わかるけど、なんか、うーん」

「七輪?」

「極端すぎてヘドが出るよ」



「でもこれはいいよね!」

「ああ、蓄音機ですか?」

「これは雰囲気出ていいねー。こういうのを推してったらきっと人気出るよ!」

「なるほど!お金がガッポリなワケですね!」

「いや…ま、まあそうかな」

「そうかーアンティークで統一感を出していけばいいのか!なるほど!
よくわかりました!それでお金を稼ぎます!荒稼ぎします!」

「う…うん」

「あっそうだ、実は、そういうムードにあった曲も用意してあるんですよ!
それもかけていきましょう!」

「そっ、そうだね!そう!それがいい!お金の話はまあおいといて、それがいい!」

「古めの雰囲気が出るような曲をね!」

「そう、古めの雰囲気が出るような曲を!」



「じゃあさっそく、このラジカセで…」

「おや?ラジカセ?」

「ええ!ラジカセです!」

「そうですか…。
…えっと、その、あのさあ、」
 
 
 
 
 


「…やめちまえこんな店ーッッ!!!!!!!」


[おわり]

※昨日までのあらすじ
メイドはただの土偶だった。仕方ないのでメニューでもてなすことにした。



「ここは何がオススメなの?」

「そうですねー、意外なところでメロンソーダですかね」

「へー、でも喫茶店のメロンソーダって小さい頃スキだったりしたわー。
じゃあそれちょうだい」

「かしこまりました、では…」



「なんでフラスコに入ってんだよ!!!!!」

「ウチはそういうポリシーですから」

「なんだよそのポリシー!!! 変なこだわり入れるなよ!!!!」

「ダメですかー…。あ、じゃああの、
焼きたてトーストとサラダのセットっていうのがあるんですけど」

「なんだ、いいのあるじゃん!
そうだよ、そういう喫茶店らしいの頼むよ!それ持ってきて!」

「かしこまりました、では…」



「トースターごと持ってくんなよ!!!!!」

「いやもう、アツアツを食べていただきたくて」

「それにしたって無骨すぎるだろ!!!!!
そんでほら、サラダ!これじゃサラダ置くとこないよ!!?
サラダどうすんの!!?」

「大丈夫ですよ!では、ちょっと失礼します」



「うおおおお前顔に貼るなよおおおおおお!!!!!」

「新鮮なキュウリですから」

「新鮮だからって顔に貼るかなあ普通!!? なあ!!?
顔に貼るかなあ!!?」

「新鮮ですからまあ、仕方ないですよね」

「しっ…え!!!!? し、仕方ないの…!!!?」

「はい、仕方ありません」

「仕方ないんだ…。」

「はい…。」

「あ、そう…。じゃあもう、普通のコーヒーちょうだい…。」

「わかりました…。」



「…あの、1杯多いんだけど……。」

「はい、コーヒーとコーヒーのセットなんで…。」

「ふーん…。じゃあもうそれでいいわ…。」

[つづく]

※昨日までのあらすじ
土偶とガイコツからおもてなしを受けることになった。



「じゃあまあ…とりあえず注文しようかな」

「ストップお客さん!」

「な、なんだよ」

「その横にボタンあるでしょ。それを押してください。
そしたらオーダー取りますから」

「いや、ぜんぜん声届くじゃん!呼び出しボタン意味ないだろ!」

「何を言うんですか!その横のろうそくを消してみてください」

「え、これ?け、消すの?消すよ?」

フッ…


 
 
 
 
「…ね、そのボタン、すごくキレイでしょう……?」
 
 
 
 


「と、いうことなんですよ。」

「と、いうことなんですよ………じゃねーーーーよ!!!!!!
なんだそりゃ!!? たったそれだけの話!!?
ますますいらねーよ!!!!! ただただめんどくせーよ!!!!!」

「まあまあ、いいじゃないですか!さあとにかくそれを押さなきゃ!
さあ押して!今押して!」

「わかったよ!押すよ!うるっせーな!押すよ!ほら!」

ウィーン…



「…おい!そこの土偶!オーダー!取りに来いよ!」

「おーきゃーくーさん!メイド、ですよ!」

…ッあーくそーめんどくせー!!!! おいメイド!メイド!」



「おっ…おい!オーダーこいつが取りに来るんじゃないのか?」

「あっ、しまったー…、お客さん、説明が漏れてました」

「なんだよ!」

「あのですねー、このメイド…」

「このメイド?」



「ツンデレなんですよ…!」

「…はあ?????」

「ツンデレなんで、一切応じないんですよ…!」

…じゃあやっぱりただの土偶じゃねーか!!!!!!
てめーふざけんなよ!!!!
一切応じないんならそれは置物であってメイドじゃねーよ!!!!!!」

「でもそこがイイっていうお客さんもいますんで」

「いねーよ!!!!! いたとしたら考古学者だよ!!!!!!
しかもそれはメイドに興味があるんじゃなくて
学術的に興味があるんだよ!!!!!! バカ!!! バーカ!!!!!」

「うわーそうですかー、じゃあもう普通に喫茶部分で勝負するしかないですかねー」

「ハジメっからそうしろよ…!もうやだこの店…!」

[つづく]

※昨日までのあらすじ
自宅の2階が勝手に改装されてた。

「うわこのカンバンのコーヒーすんげー漏れてる…!
穴あき過ぎだろ…!
しかし、一体だれがこんなこと…?」


「いらっしゃいませご主人さまぁー」


「…あっ!」

「お、お前は、確か前のステキ村で床屋をやっていた…

「あっ、そうです、バーバーリッチのリッチです。覚えててくれましたかー。
いやーねえ、今不況でしょ?
床屋も続かなくてー。ジャジャさんも引っ越しちゃうし。
だから新天地でこう、バシッと新事業で儲けようと思いまして!」

「…それはいいんだけど、なんでまたウチに寄生すんだよ……。
勝手に内装変えやがって…。出てけよ!」

「いやいやジャジャさん、とりあえず話を聞いてくださいよ。
前はボッタクリ床屋だったでしょ?
しかも家主のジャジャさんにたかっちゃったでしょ?
9億ベル。
…あ、
9億ガッシュベル!」

「そのベルなんとかは覚えてなくていいよ…。」

「でもホント、私勉強してきたんです。
商売のなんたるかを!銭のなんたるかを!
やっぱりね、合法的に金をまきあげる!
これなんですよ!
…ということで今回は!メイド喫茶を立ち上げたんです!」

「メイド喫茶…?」

「そうです!今やっぱりメイド喫茶がアツいですから!
メイド喫茶に金の臭いがしたもんですから!」

「お前はホント、死臭以上にきな臭いよな。
大体メイドがいないじゃんかよ。メイドはどこだよ。」

「え!おわかりにならない?おわかりになりませんか!
すぐそこにいるでしょうが!」

「え…?」

「どこ…?」

「えええええええこいつ!!!!??」

「そうですよ?何か?」

「いやいやいやいや、これメイドじゃなくて土偶だよ!
なんか着てるならまだしも、純粋に土偶じゃん!」

「ププーッ、ジャジャさん、ケルベロスmmmmmmm」

「えっえっ、今の何???」

「知らないんですかジャジャさん、ケルベロスmmmmmmmm」

「え、それもしかして、テ、テラワロス…とか、そういう…?」

「え…?あ、テ…ラ?」

「テラワロス…だよね?
あとなんか、お前の笑いの表現が妙にフカフカなんだけど…」

「あれ?mmmmmmじゃないんですか?」

「w…じゃない? wがいっぱいじゃない?
お前のはなんか、よくわかんないけどウールっぽいよ?
もしかして、客にあわせようとして無理してるのか…?」

「あら!あらら、バレちゃいました?そうかーやっぱり露骨でしたかね!」

「いやお前がヘタクソなだけだよ」

「つかあの、ホントに、メイドなんですよ。実際ご主人様のために尽くすんですよ」

「それはどっちかっつーと崇拝だろ」

「違います!とにかくもう、メイドだと言ったらメイドなんです。
仕方の無いことなんです。
そんなことより、そちらの広い方にお座りください。
さあさあ!初めてのお客様ですから!おもてなしして差し上げますよ!」

「いやだな、土偶とガイコツにもてなされるの…。」

[つづく]

それは、よく晴れた雪の日でした。
いつものように外に出ると、村中に植えられていた桃の木が、
ひとつのこらず切られていました。

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どうしたらいいのやら判らず、ただただ村を歩き回っていると、
ウサギのゲンジに声をかけられました。
ガタガタと震える彼が持っていたのは、1通のダイレクトメールでした。

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『ジェインソ』…?
たしかに聞いたことのある名前でした。
でも、それが誰なのか、思い出せないのです。

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おびえるあまり、言動がおかしくなる住人たち。
木などまた植えれば良いとは言えない恐怖がそこにはありました。

ふと気配を感じ、振り向くと、掲示板に鳥がとまっていました。
鳥は、まるで読めと言っているかのように、こちらを見ています。

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見なければ良かった、そう思いました。
けれど、見なくても同じこと。
ジェインソは、この村にいるのです。
そして、村の木をすべて切り倒したのです。

気づけば、無我夢中で走っていました。
そして、バス停に近づいたとき、私は見てしまったのです。

ファイル 24-5.jpg

彼の、姿を。

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13日の金曜日